ーーー様々な絵をお描きですが、敢えて「専門は?」というと何ですか?

油絵です。
長期保管ができるっていうところが魅力の一つだと思います。
ゆっくり乾くものほど、丈夫なんです。

船舶の塗装とか、乾くのに1年かかるんですけど、
それだけ長くかけて乾いていくってことは、
中から外に向けてカチッと固まって
壊れにくいっていうことらしいんです。

時間をかけることは決して無駄なことじゃなくて、
ゆくゆくは、堅牢なものができるっていうこと、
長期保管ができるってことを考えると
結局経済的と言えるのかもしれません。

例えば、水彩画だと、パーっと早くできちゃいますが、
時間が経つと(たとえば1年とか)、蛍光灯の下でも、もう色褪せちゃうんです。
いつまでも陽にさらしてはおけないって思うと
扱いが難しいところもありますよね。
長く残していく作品ということを考えると
油絵、壁画が多いのは、そういう理由でしょうね。

ーーー最近はアクリルの方が人気ですよね。

美大の入試も、最近はアクリル絵具です。
水に溶いてすぐ使える手軽さと、
いつまでも色鮮やかな作品として残せますから。

油絵って絶滅危惧種なんです(笑)

ーーー作品を仕上げるのにかける時間は?

早いと1ヶ月で終わるんですけれど
表面を乾かすだけでも2週間。
中まで完全に乾いたなーっていうのは30年ぐらい!

その間に、油ですから、黄変してくすんでくるんですが、
作品の完成がそこだとすると、
完成を確認せずに亡くなってしまう作家もいます。

それでも長く残すってことがいいって思うと、
油絵に気持ちが行っちゃうんですね。

ーーー作業をスタートするとき、まず何から始めますか?

まず片付けます。

ーーー???

今、使わないものは、どんどん定位置にしまっておくんです。
まず、フラットな状態、その環境を作るってこと。

よし描けるっていう時がいつ自分にやってきてもいいように
整えるってことですね。

道具が出ていたままの方がいいっていう人が多いようですが、
そうなってると私の場合は、頭がごちゃごちゃしちゃうんです。

しかも
描いているときも、
どんどん片付けしながら、作業しています(笑)。

ーーー油絵以外の作品も多く描いていますよね。

注文をいただいた方に合わせて
人や風景、こだわらず創っています。

その人の思い出とか、そこからイメージして
「その人ありき」で創ります。

油絵が専門っていいながら、立体もやってみたり、
ジャンルが決まってない…..

そんな柔軟さが、「わたし」なのかもしれません。

ーーー常に新しい、常に変化を求めているんですね。

展覧会で、「この作品が欲しい」っておっしゃって
この感じで、創ってちょうだい、描いてちょうだいってオーダーがあると
自分の作品の真似をするってことが始まる。

自分の作品でありながら
既にそれは、
オリジナルじゃないんです。

同じような感じなら簡単でしょ?って
言われがちですが、
私自身は、退屈してしまうんです。

創作って「ちょっと山を登った感が欲しい」ってところがあると思います。

変わらない毎日がいいって言いながら、
私たちは変化せずには いられないものかもしれません。

機械で作るなら同じものをいくつでも作れるんでしょうけれど、
この変化を求めるっていうところは、ヒトであることだし、
創作するってことだと思います。

ーーー作品が生まれるときは、どんな時ですか?

自分と似た人とは、付き合わない。
作為的にそうしているわけじゃないんですけれど、
大学時代も、気づけば、全く違うジャンルの人と一緒にいたりしました。

同じような人と同じように議論を重ねていても一個も解決しないけれど
一旦自分を全く違う場所に置いてみると
答えが簡単に見つかったりする。

無意識に、そんなアンテナの張り方をしています。
作品はどんどん”自由になってる気がしています。

ーーーこれからどんな作品を作っていきたいですか?

著作権とか 細かいことは色々制約があるかもしれないけれど、
一つの作品から派生して
いろんな人がアレンジを加えていって
面白い作品にどんどん変化できるようなこと。
作品の寿命はそうやって伸びていくような気がしています。

既に価値が定まってしまったような
高価なブランドバッグとか
あんまり興味がないんです。
大量生産だなって思っちゃう。

みんなにウケるっていうものより
この作品を手にする「あなた」が大事に思えるもの。
いわゆる「映える」を目指さない。
目指そうと思ったこともないです。

長く残る作品。
寿命の長い作品を届けていきたいです。

届け方は、リアルでも、オンラインでも….いろいろです。
受注で描くことも多い中で、
今後、いろんな人とタッグを組むのも面白い。

そこも自分を自由に放ちたいと思います。

インタビュアー:鶴岡 慶子

作品

子どもは、未来への希望だ。
暗いニュースばかりで、将来の課題はてんこ盛りかもしれない。

そんな中であっても、子どもたちを温かい未来に送り出してあげたい!
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