石榑 亜紀子(いしぐれ あきこ)
走る気象予報士

三重県出身
東京農業大学農学部森林総合科学科を卒業
気象予報士、食育インストラクター、アスリートフードマイスター

〇現在の活動
2021年10月からエフエム世田谷「サムディ プティ シエルSomedi petit ciel」でラジオパーソナリティを担当、朝日新聞三重県版「石榑亜紀子の空がみえたら」で気象コラム連載中。
安全大会などの防災講演や出前授業、ゲストランナー、コラム執筆などで活躍中。

〇テレビ出演歴
テレビ東京「TXNニュース」、NHK名古屋「おはよう東海」など。
その他NHK広島、松山、甲府放送局で気象キャスターを担当。

〇著書
天気予報の大研究 自然がもっと身近になる!(PHP研究所出版)
ランニングマガジン クリール「ランニング天気予報」(ベースボールマガジン社)全12回コラム執筆(2017年4月号まで連載)

趣味はランニングとスイーツ巡り、愛称は「ぐれちゃん」

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【2】

◎…気象予報士として最初やった業務は何ですか?

航路気象を担当しました。

日本から海外に、船で物を運ぶときに
(例えば)どういうルートでいけば
台風の影響を受けずに燃費よく物を運ぶことができるのかっていうルートを示す仕事です。

世界の天気を見るので、広域の天気図を使います。

台風や熱帯低気圧がどこにあるか。
波浪図を見て波が高い時はそこを避けたルートを勧め、
解説は船長が外国の方なので英語で書いていました。

ダイレクトに命に関わる情報を提供した初めての気象の仕事でした。

◎…メディアの仕事は初めからではないんですね。

すごくあがり症なので
テレビとかラジオとか やるつもりは あまりなかったのですが
「解説業務で空いてる枠があるんだけど入りませんか?」 とお声がけいただき、
それがきっかけで
初めてNHK千葉放送局のラジオに出演させていただきました。

メディアの仕事はそれがスタートです。

◎…スタートしていかがでしたか?

めちゃめちゃ緊張しました。
最初のラジオは緊張して声が震えていましたね。

ちょっとずつ慣れてきた頃に 「すごい声が聞き取りやすい。」ってリスナーの方からお手紙をもらったんです。
初めてお褒めの言葉をいただいて、すごく感激しました。

密室のラジオブースに入って、天気をお伝えするので
あんまり人と繋がっている感覚がなかったんですが
「聞いてくださっているんだ」「声が届いているんだ」っていうのがわかってとても嬉しく感じて、
自分から天気を伝えるというスイッチが入ってしまいました。

テレビ出演はNHK広島放送局で産休に入る方がいるから代わりにどうかと上司にお声をかけていただいて、
自分でも驚いたことに「やってみたい」と速攻思ったんです。

ラジオでは経験を積んで少し自信も持てるようになってきていましたが、 テレビはまた違いました。
初回は緊張で差し棒が震えているところまでしっかりテレビに映っていて、
広島在住の知り合いから「見てる方が緊張するわ」っていっぱいメールをもらいました(笑)

授業中に先生に当てられるだけで顔が真っ赤になっちゃうような自分が
テレビの前でしゃべれるとは!と 自分でも思いますね。

◎…そこから全国各地でご活躍ですね。

広島が最初で、その後 松山、名古屋、甲府、東京…。

あちこちですね、本当に。

お陰様で地方都市が大好きです。

◎…現在は東京在住で、出産もなさったんですね?

息子は、2歳半になりました。
息子がちょっとずつ空に興味を持ち始めているのは嬉しいことです。

でも、イヤイヤ期真っ盛りです。
大変な時期とかわいい時期って本当にかぶるなって思いながら、生活しています。

男子で力が強いから、時々負けそうなんですけれど、
今日は保育園へ行く寸前まで家の前で30分ぐらいシャボン玉してました。

体力を使いますね、母業は…。
楽しいですけど、朝からヘトヘトです!

◎…講演・執筆など、幅広く活動なさってますね。

朝日新聞で気象のコラムを連載しているほか
そんなに本数は多くないんですけど日本気象協会のサイト上で季節の話題を書いています。

小学校に出前授業へ行って温暖化のお話をしたり、
企業へ出向いて防災の講演をしたりしています。

目の前にお客様がいると、聞いている方の姿が確認できちゃうので、
集中力が途切れていく人が見えた時には
「あ~この言い方だと分かりにくいか」「この話題は興味ないか」など
ダイレクトに自分に返ってきます。

最後まで聞いてもらうためには
クイズをいれてフランクに楽しんでもらえるようにしたり、
ちょっと体を動かす時間をつくったり、
資料で工夫をしたり試行錯誤します。

コロナ禍で講演や講座の機会は一時はほとんど中止になりましたが、
今はオンラインに切り替えるなどして少しずつ戻ってきています。

◎…みなさんにはどのように情報を受け取ってほしいですか?

真鍋淑郎先生がノーベル賞を受賞されたり、
先月まで放送されていたNHKの朝の連続テレビ小説でも気象予報士のお話だったり、
保険会社が社内の気象予報士を大幅に増員するってニュースがあったり、
今とても気象が熱いですよね。

天気は一日の生活にすごく直結しています。

一人一人の「ためになる情報」はそれぞれ違いますが、
まずは自分が関わる範囲で必要な気象情報を得てほしいです。

そこから天気図に興味を持ち始めたり、
歳時記を知りたくなったり…
天気って大事だな!と感じて有益な情報と知ってもらえたら、と思います。

その結果、防災・減災につながっていくのだと感じています。

局地的な豪雨や堪えるような暑さを
予報の段階から興味を持って体感することで、
地球温暖化への意識も変わるのかなと思います。

◎…情報を伝える側としては、これからどうありたいと思いますか?

何よりも簡単に分かりやすく、情報を届けることが大事だと思っています。

例えば「大気の状態が不安定」っていうのは
地上と上空の気温の差が大きくて、発達した積乱雲が発生しやすい状態のことですが、
一言できれいに説明できているようで、噛み砕いてお話をしようとするとすごく難しさを感じます。

小さい子供からおじいちゃんおばあちゃんまで、
みんながうなずくように説明することを考えたら課題はてんこ盛りです。

みんなに納得してもらえるように伝え方を磨いていきたいです。

更には、今どういう人々にどんな気象情報が必要とされているのか、
いろんなことにアンテナを張っていきたいです。

模索中ではありますが
「気象×〇〇」という何かで、多くの方に響く情報を見つけられたらいいですね。

気象って全てのものに結びついているので
例えばお料理に使う材料だったり、
初めにお話ししたような走ることなどスポーツと天気だったり…。

多くの方を惹き込めるような「気象×〇〇」を見つけて
有益な情報をお届けできたらいいなと思っています。

(了)

 

インタビュアー:鶴岡 慶子