• 後編

まつもと ちなつ

松本 千夏

秋田市出身。

秋田県立南高等学校英語科、明治大学短期大学、立教大学経済学部を経て現職。
会社員として世界中に出かける一方で、日本文化について学び
現在は副業として料理教室を運営しながら多様な分野で活躍。
着付けやマナープロトコル、栄養などに関わる食の資格取得し、
ボランティア活動、次世代支援など、幅広い分野で精力的に活動を展開している。

食に関しては、江戸懐石料理師範、 講師のほか、
マクロビオティックコンシェルジュ
アスリートフードマイスター
メンタルフードアドバイザー
フードアナリスト
薬膳アドバイザー
シニアソムリエ等の資格を持つ。

趣味はダイビング、観劇、旅行等。海や山、畑仕事も好き。

 @chi_ma48

【2】

◼️…講師としてのスタートはどんなものでしたか?

最初は、社内のインストラクターでした。

インストラクターには教育機関に出向した人もいるのですが、私は現場代表でした。
2者を比べると講師力が歴然としていて、これはまずいと思いました。

マナーの知識、インストラクターとしてのスキルを
徹底的に身につけよう
誰にも負けないように頑張ろうと思って
マナープロトコルの資格講師養成講座を受けました。

マナープロトコルは国際儀式にも使える内容がすべて含まれています。
世界の国賓の立ち位置、国旗の並べ方、ビジネスマナー、車内の座り方、冠婚葬祭、テーブルマナー、手紙のマナーなどです。

現在はマナープロトコルの資格を活かして
文部科学省でのお箸のマナー講師のほか、
放送局のアナウンサー向けにお箸の使い方についてお伝えしたりします。
また、小学校、特別支援学級でマナーや接遇をお伝えしています。

シニアソムリエの資格を活かしてワイン講師としての登壇もしています。

◼️…ずっと学び続ける原動力は何でしょうか?

興味があることを何でも勉強してみよう!といった感じです。
そしてどうせ学ぶのであれば、資格取得を目標として勉強した方が、
断片的な知識よりも体系的に勉強しやすいし、
説得力が増すというような感じがあったので、資格をたくさん取るに至りました(笑)。

もしかしたら会社とは別の居場所をどこかで求めていたのかもしれません。
新入社員の時からずっと同じ会社にいて、
仕事のことでうまくいかない時に
もう一つの居場所がプライベートだけでは不安定だとどこかで思っていたのでしょうか。

自分で好きなことで資格を取っていくことで、自分の強みが生まれるので、
その方が心地がいいなと思っていたのでしょうね。

いろんな資格を取ってきたことで、
仕事で落ち込んだ時も割り切れたり、心穏やかにいられたようにも思います。

ただ一方で、自信がないことを資格を取ることで埋めていったとも思います。
資格を取ることで何となく自分の心が安心したような気もします。

◼️…こども時代から「学ぶ」ことに貪欲だったのでしょうか?

子どもの時はすごく元気いっぱいでした。
三姉妹でよく外で遊んでいました。

お稽古ごとをいろいろしていました。
姉と妹は習字が得意だったんですけど
(今は素敵だと思っていますが)その頃の私はすぐに嫌になってやめちゃいました。
私は、ピアノや水泳、英語、体操などをやりました。
音楽大学に行きたいと思うぐらいピアノが大好きでした。

中学の時に英語の弁論大会に出て、推薦で英語科に入って
高校時代も、暗唱大会や弁論大会に出場しました。

子どもの頃にいろんなことをやらせてもらっていたことで
新しいことを学ぶことに対してのハードルは低いのかもしれません。

◼️…大学は英語科ではないんですね。

姉が東京外国語大学に入ったのですが、
語学は手段であって、何を伝えるかが大事だと思うと話していたんです。

それを聞いて、語学よりも中身を勉強しようと思って、経済か法律かと考えました。

法律は正義の味方で素敵だと思ったのですが、
経済の方がより「生き物」だと感じて経済学科を選びました。
大学受験は思い通りにはいかず、短大に進んで、後に四大へ編入しました。
編入試験に向けて人生で一番勉強しました。

四大へ行ってからはバスケットのサークルに誘われて、
(それまでずっとピアノをやってたので、指の怪我をしないように球技を避けてきてたのですが)
意外と楽しく新しいことをやったりしました。

印象的だったのは、銀行でのアルバイトと、
構成作家事務所に所属して、
「ズームイン朝(日本テレビ)」のニュース原稿を書く構成作家のアルバイトです。

4時過ぎくらいにテレビ局に入って、
ディレクターさんの指示で
ニュースとVTRとを合わせて⚪︎秒の原稿に仕上げるというものです。
前日のニュースをこういう構成でやる。
この番組に合わせてニュアンスを変えて伝える。という指示があって書いていました。

◼️…マスコミには進まなかったのですか?

マスコミも受験しました。

記者として受けたところもあったし、総合職として受けたところもあります。
マスコミも志望しつつも運輸系や観光系なども受けました。

マスコミに進めなかったのがすごく悔しかったので、
内定をいただいた会社に勤務しつつ再受験することも視野に入れていました。

私が入社した会社は契約社員としての入社で、
3年間経つと正社員になれるという条件だったので、
とりあえず3年間は頑張ってみよう
そこからまた考えようという気持ちでした。

そうしたら、全然片手間ではできず、本当に大変な仕事で
悔しいこと、嬉しいこと、いろんなことがあって、
やりがいもあり、 同僚に恵まれて
もうちょっと頑張ろうもう少し続けようと思って今に至ります(笑)。

◼️…その中で結婚があり、お父様の介護もあり、いろんな節目がありましたね。

そうですね。
ふるさと秋田への想いは強くなりました。

鳥取のプロジェクトに参加して鳥取の地方創生に携わっていましたが、
「いつかは秋田のことを」という気持ちが芽生えていました。

そんな時に、ミセスオブザイヤーの統括プロデューサー*佐藤倫子さんと出会いました。

*佐藤倫子さん インタビュー記事

一度は(出場を)断っていたのですが
#秋田美人 をもっと広げたい地域活性化につなげたいという想いを聞いて
「いつかは秋田のことを」という気持ちとつながると思いました。

秋田でのミセスオブザイヤーは初開催だったので、
第一回目にチャレンジできるのもご縁だろうと思って、
ものすごく迷いましたが、勇気を出して出場することを決意しました。

大きく踏み出そうとする時に、周りの人はいろんな意見を言うものです。
社内でも「応援しています」という人もいれば否定的な人もいました。
私の行動が、周りの方に勇気を与えたり励みになったりプラスになれば嬉しい。
マイナスになったらごめんなさい、不快にさせて申し訳ない。
でも、私の人生における選択で、私自身が自分で選んで自分で責任をとって行動することなんですよね。

秋田市長表敬訪問。同じ高校出身というご縁がありとても嬉しかったです。

高校卒業まで秋田で、その後はずっと都内で生活していますが、
今回(ミセスオブザイヤーに)出場したことで、
毎週のように秋田に帰れて宝物のような時間でした。

また、秋田で頑張っている方との出会いがあって励みになったり
秋田に対する想いがとても強くなりました。

今後、自分にできることがあったら何か役立ちたいですし、
秋田との絆が一層深められたら嬉しいです。

◼️…会社員と副業とのバランスをどう考えていますか?

どちらもお客様と直に触れる場面が多いので、
「ありがとう」という言葉を直接聞くことができます。

(その感謝の言葉を)言っていただけるように頑張る。
そういうところが両方の共通点だろうと思っています。

今は本業あっての副業という位置づけにはなっていますが、
サラリーマンはいずれ定年があります。
今まで働いてきた年月と比べると、もう残りは短くなりました。
会社員のお仕事も誇りとやりがい、充実感もあり、
これまで社会人として育てて貰った会社にまだまだ恩返しもしていきたいです。

一方で、時代や世の中の流れとしても
マルチキャリアや副業等も今後推奨されていくと思います。

好きな事を仕事にしたり、趣味に持つ生き方が人生を彩り豊かにしてくれるのではないか。
そして居場所が幾つもある方が、1箇所に固執したり執着し過ぎず、
気持ちも軽やかにしてくれるのではないか、とも思います。

◼️…これからの夢を教えてください。

いずれ定年がありますし、会社とは生涯結婚出来ません(笑)

会社員としての枠だけでなく
自分の好きなこと、得意な事を、出会いやご縁を大切に様々な形や方法で行動していきたいです。

いくつになっても、年齢や環境を言い訳せず、
自分で自分の可能性の限界を決めずに挑戦し続けて、

  • (まだまだ)諦めず、可能性を広げていく。
  • (その為に)出来る努力を積み重ねていく。
  • 他人と比較して違いを批判や攻撃するのではなく違いを認める。

頑張っている人や好きなことをしている人は、それができるように思います。

大変おこがましいですが
そんな考えの方が増えたら、より前向きで健全な社会、日本になるように思います。

私もまだまだ挑戦し始めたばかりで、未熟ですが、
これから様々な社会貢献や、
会社員で行き詰まっている方、
新しい未来を描きたい方へ
マルチキャリアなどの可能性の扉を開ける背中を押す行動等もしていきたいです。

また、自分が生まれ育った秋田への恩返し
そして、秋田だけでなく、
私たちのDNAの中にある素晴らしい日本文化を
時代と共に変化しつつ、次世代、世界に伝えていけたら嬉しいです。

(了)
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