ささき あき

佐々木 亜紀

秋田県秋田市出身。
東京の短大を卒業後、OL、美術館勤務、二度の社会人学生を経て
2019年6月 に「インテリアデザインWall&D」を開業。
第30回秋田の住宅コンクール 最優秀賞 受賞。

【インテリアデザインWall&D(ウォールアンドディー)】
秋田市南通亀の町4番15号 ヤマキウ南倉庫1F
電話番号/018-827-6191
E-mail/info@walld.jp
営業時間/12:00~17:00
定休日/火曜日・水曜日 ※不定休あり(施工相談の場合、予約がおすすめ)

 @wall.and.d

@wall_and_d

【1】

◼️… インテリアデザインの世界にはどのように惹かれていったのでしょうか?

学生時代から美術館巡りが好きでして、
鑑賞だけでなく、その空間に興味がありました。

たとえ嫌なことがあっても、
美術館に行くと洗い流されるその浄化作用、非日常の体験がとても心地良かったんですね。

この時点ではパブリックスペース、
後に経験する在宅介護時代にプライベートスペース、家のインテリアについて深く考えるようになりました。

◼️…短大は美術ではなく英語科だったのですね。

東京への進学は、正直、勉学に励むというよりは、
ローカルには無いカルチャーを体験する為でした(笑)

学費を出してくれた親には申し訳ないですが、お陰さまで人生が豊かになりました。

◼️…短大卒業後、大学に編入したのですか?

美術館勤務時代に編入したのですが、
途中、出産や育児介護もあり、仕事自体も続けられなくなってしまい、
(美術館退職で)学芸員資格を取得する意味が宙ぶらりんになってしまいました。

美術館勤務を続けられなかった心残りと、
せめて勉強だけは区切りをつけようと思って(休学した時期もありましたが)卒業し、
学芸員資格を取得しました。

学生時代の学業は全く疎かであったのに、
好きなことはいつのタイミングでも進んで学ぶことが出来て、
それは後々、自分の支えにもなることに気づきました

◼️…そして今度は建築デザインの専門学校に行くのですね。

2回目の社会人学生として学ぼうと思いました。

母の介護をしている中で、ここで母を失ったら間違いなく心が折れるだろうと思ったので、
何か集中できるものが必要だと思って学校に見学に行ったんです。

その時に担当してくれた先生が私の履歴書を見て
「美術館で働いていたのですね、この学校はあなたに向いているかもしれませんね」と言ってくれました。
営業トークだったとは思いますが、入学してからも先生にはお世話になりました。

入学前に、母を見送りました。

当時は運転していてもポロポロと涙が流れるくらいでした。
大変なことがあっても集中できることがあれば大丈夫ということを
学芸員資格取得の時(20代後半~30代)に経験していたので、
また夢中になることが必要でした。

すでに40代になっていましたので、
自分の子どもと同じような年代の同級生が多かったです。
教科書の細かい文字を見るには、(年齢的に!)距離をとって読むんですよね。
私の他にも社会人学生はいて、楽しく学べました。

◼️…学生時代に受賞したのは、どのような作品だったのでしょうか?

秋田で長らく続く、プロと学生向けの住宅コンクールなのですが、
当時は社会人学生でしたので
設計した内容をパネルにまとめて提出するという形でした。

テーマはリフォームで「終の住処」。

10代の子たちにとっては遥か遠い未来ですが、
私にとってはリアルに考えられる年代でしたので(笑)
経験や考えを全て投入しました。

作品タイトルは「食べられる庭でもてなす豊かな暮らし」です。

内容としては、庭と住宅をつなげて暮らす“アウトドアリビング”を提案。
今でこそアウトドアリビングという言葉は広く使われていますが、
私がその作品を提出したのは9年前のことです。

設計で意識したのは、高齢になるとだんだん近所の方との交流が少なくなり、
社会とのつながりも薄れ、気持ちがふさがってしまうことが多くなる点でした。

そこで、家にいながらもご近所と交流が持てる仕掛けが必要なのではないかと考えました。
ご近所の方が庭に訪れても、家の中が見えすぎないように通路の配置も工夫し、
プライバシーを守りつつ、地域とつながりを持てる構成です。
設計図面にも、植える果樹の種類や配置を細かく描き込みました。

実は実際に夫が手入れしている庭をモデルにしています。
建築仕上げ材も実際に今扱っている環境に優しい上質なものを指定し、内装(模型写真)にもこだわりました。

この作品で最優秀賞をいただきました。

◼️…コンペで受賞したことが起業につながったのでしょうか?

夫はずっと独立したらいいんじゃないか?と言っていたのですが、
私は人前に出るのが苦手ですので、無理無理!とずっと断っていました。

卒業後のタイミングで、現在入居している複合施設への出店のお話があり、
活躍されている皆さんと一緒の環境なら、今とは違う人生になるのかもしれないと思い切りました。

いくらコンペで受賞したとしても、独りではとても無理であったと思います。