あおやま あいこ

青山 愛子

島根県出雲市生まれ。
日本フェイスペイント協会認定アーティスト
秋田県仙北市角館在住。二児の母。

祭彩屋

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【2】

◆…絵を描くのはもともと好きだったのでしょうか?

ちっちゃい頃から絵を描くのが好きでイラストをよく描きました。

大人になってからも趣味で絵を描くことは続けていて、
似顔絵や、写真を元に鉛筆画を描いていました。

鉛筆画は画像だと伝わりにくいですが、
生で見てもらえると鉛筆で描くちょっとした凹凸を感じてもらえるので
以前(鉛筆画の)個展を開いた時には、
鉛筆画の面白さを多くの方に感じてもらえました。

◆…マタニティペイントは紙に描くのとは違いますよね?

お腹はまっすぐじゃないので、まずそこが大きく違います。
また、人によってお腹の張り具合も違いますし、
皮膚は伸び縮みがあるので
座ってる状態で可愛く描けた!と思っても
立ち上がると(お腹が)伸びちゃうので、
人間の皮膚に描く難しさはあると思います。

合わせてやっぱり絵の具が水性の絵の具なんですけど、
普段は乾いている状態なんですね。
水を加えて、溶いて使っていくんです。

水の溶き具合で変わるので、
こちらのコンディションを整えておかないと
上手に描けないという繊細さもあります。

最初の頃は苦労しましたが、
今は、かなり自分の頭の中にあるイメージをそのまま表現できるようになりました。

◆…ところで、自分のマタニティペイントはご自身でなさったのですか?

1人目の時は、里帰り出産をしたので
地元(島根県)でマタニティペイントをやっている友人にお願いしました。

2人目の時は、自分でやりました。
自分で描く時は、お腹の下半分は見えないので、鏡を使って描きます。
上半分は目視で描きました。

2人目妊娠中は描きたいペイントがたくさんあって
何回か自分のお腹にペイントしたのですが、
家族みんなの手形を取り入れたペイントは特に思い出深いです。

また、同じ時期に妊娠していた友人とおそろいでペイントしたのですが、
お腹にいた子が同じ誕生日になったのにはびっくりでした!

◆…でも、鏡だと、逆さになっちゃいますよね。合わせ鏡を使いますか?

女性はお化粧をしますよね。
その感覚に似ています。
さすがに、文字は難しかったですけど(笑)。

でも本当にやって良かったです。

今でも時々写真を見返したりして、
「このお腹にいたのに、こんなに大きくなったんだなぁ」なんて思ったりします。

自分の中でとても大切な思い出になっているので、
多くのママにもお勧めしたいです。

◆…マタニティペイントをしたお客様の反応はいかがですか?

描いている途中は、ママ自身ではお腹の上半分しか見えないんですね。

描き終えて鏡で見てもらうと、目を見開いて「わー!」って喜んでくれます。

パパたちの反応は、まちまちです。
おしゃべりのパパは描いている途中もスマホで写真を撮って、
「今こんな感じだよ」って実況しています。

ノリノリのパパ
パパのお腹もペイントして一緒に写真を撮る方もいらっしゃいます。

ご夫婦でいらっしゃることが多くて、
上のお子さんがいれば、お子さんも一緒に来てくださることが多いです。
お兄ちゃんお姉ちゃんが一緒にペイントに参加することもあります。

◆…やりがいを感じるのはどういうところでしょうか?

この色がうまく乗るかなとか
マネキンより大きいお腹だからバランスはどうかなとか
今でも描き始める時にはドキドキします。

でも、絵ができた時にママが目をキラキラさせてくれるのを見ると、すごいやりがいを感じます。

(ペイントの代わりに、水で貼るタイプの)シールにしようと思ったけれど、
描いてもらうと全然違うと思って、ペイントをお願いしました

というお客様もいらっしゃいました。

この(ボディペイント用の)絵の具は、
肌にのせた時に色がきれいに出る絵の具なので、
本当にステキに仕上がります。

そしてスタジオの環境は、自然光が入るところなんです。
貸衣装のマタニティドレスもあります。
ドレスは日常ではなかなか着るものではないので、
自分じゃないみたい!魔法をかけてもらってみたい!って
みなさん、おっしゃいます。

一番喜んでほしい人に喜んでもらえるその瞬間がとても幸せです。

記録として自分のお腹だけを写真に残している方もいらっしゃいますが、
実際に、子どもが大きくなった時に見せる写真は
きれいで可愛いペイントをした特別なママを見せてあげたいなって思います。

お腹をかわいく飾って残してもらいです。

◆…後から妊娠中の母の姿をお子さんと一緒に感じることができるんですね。

子どもの頃の写真を見返す時に、
妊娠中まで見返すことができるのはいいですよね。

お腹を出して撮ってる写真って貴重ですよね。
子どもにとっても、貴重な体験になるだろうと思います。

私自身は、妊娠線はできなかったんですけど、
正中線がお腹の真ん中にあったんです。
それもマタニティペイントで綺麗に隠れるので、
写真を見返す時に、恥ずかしいという気持ちはなくて、
こんな絵を描いてもらったなぁ、可愛いなと思い返すことができます。

ペイントはすぐに消えますが、
その瞬間の思い出作りで終わりではないんですね。

もちろん毎日大好きだよって言うのも大切だと思うんですけれど、
ちっちゃい時の自分だけじゃなくて
更に生まれる前から大切な存在だったとお子さんに伝えられるのが
このマタニティペイントの素晴らしいところだと思います。

ちゃんと自分には味方がいてくれるんだな、
パパとママは何かあっても
自分の味方でいてくれるんだなって思うと
お子さんはきっと自信を持って
いろんなことにチャレンジしていけると思うんです。

写真を見ながら
生まれてくるのをパパママも待ってたんだよ
あなたは大切な存在だよ」というお話をたくさんして欲しいです。

(了)
インタビュアー:鶴岡 慶子
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