はせがわ ともみ

長谷川 智美

秋田県生まれ。
会社員時代に、ブルータン&ダップルのダックスフンドと出会い「まろん」 と命名。
社長で父の真田明男氏が立ち上げたDOG SHOPまろん 店長。
家庭動物管理士
ペットセイバー
メディカルトリマー

DOG SHOPまろん
dogshop_maron

〒010-0101 潟上市天王字追分長沼9-1
TEL:018-873-8234
営業時間:10:00 ~ 18:30

【2】

◆…ショップはどんな形でスタートしたのですか?

初めは、自宅の横にわんちゃん専用の小屋を作りました。

それまでは、父がサラリーマンをしてるお給料から
わんちゃんたちのご飯代とか病院代とかを注いでやっていました。

そうじゃなくて、ちゃんと生業としてスタートしようということです。

そして少しずつお客さんが来るようになってきました。

ただ、それだと、 家族がご飯を食べている横でわんちゃんの説明をしなきゃいけない….。

私も結婚して妊娠したので、
父もお店をちゃんとやってみようかということになって始めました。

お店をオープンしたのは、長女が産まれる1ヶ月前でした。

◆…忙しかったですか?

スタッフから忙しいと聞いていて
いくらでも早く復帰したかったので、
産後2ヶ月で、赤ちゃんをおんぶして、お店に立ちました。

長男の時は、産後1ヶ月で復帰しました。

ありがたいことに、1日に何人に説明すればいいんだろう?っていうぐらい
たくさんの方にわんちゃんをお渡しした日もありました。

最初は、トリミングなどはしていなくて、
わんちゃんの販売と、犬のごはん・おやつ、お洋服などを扱っていました。

◆…現在はメニューが増えているんですね。

ペット業界の法整備が整ってきたことで、
必要に応じてちょっとずつ広げてきました。

トリミングはお客さんの声があったので始めました。
動物看護の仕事もしていた友人がお店で働いてくれていて
トリミングについて少し知っていたので
やってみよう!ということになり ました。

二人で猛勉強しました。

ペットレスキューもメディカルトリマーも
やってみたら?と声をかけてくれた専門学校の先生がいたので資格を取得しました。

わんちゃん界も高齢化が進んでいて
お店にいらっしゃる わんちゃんの1割ぐらいは13歳以上になっています。

トリミングってわんちゃんにとっては体力使いますから、
不測の事態に備えるためにもこの資格は有効です。
飼い主さんにも安心して預けていただいています。

子どもが熱出すように
わんちゃんも調子悪くなる時って 夜だったり土日だったり
獣医さんがつかまらないっていう時だったりするんですけど、
私も3頭のわんちゃんと暮らしていて、
飼い主さんの気持ちがよくわかるので
24時間 対応できるようにしています。

◆…飼い主さんも安心ですね。

蘇生はできないんですが、
メディカルトリマー、ペットセイバーとして
獣医さんにバトンタッチするところまでの応急処置はできます。

夏場はどうしても熱中症気味でいらっしゃるわんちゃんがいるので、
そのときはトリミングじゃなくて
先にその処置させてもらう…。

獣医さんと連絡を取って、
すぐに診てもらえるように手配したこともありま す。

初めて子犬を飼うとなると、
赤ちゃんが突然やってきたことと同じなんですよね。

「焼き鳥を串ごと口に入れちゃった」
「マスクを飲み込んだ」
「おしっこシート食べちゃった、どうしよう!」
と連絡をいただくことも少なくないです。
獣医さんと連絡を取りながら病院に行ってもらったこともあります。

困った時に
「どうしたらいいでしょうか」って言える場所でありたいと思います。

◆…仕事のどんなところに魅力を感じますか。

わんちゃんを介して人とつながれるのが魅力だと思います。

長くお付き合いさせてもらっている飼い主さんがたくさんいます。

「わんちゃんが いたからこうなれた!」という声を聞けるのが嬉しいです。

◆…それは、会社員時代には感じなかったことですか。

ないと思いますね。

これは、私たちが言い始めたことじゃないんですけど
うちからワンちゃんを迎えてもらって
いろんな行事をやっているんですけど
その中で”わんわん大運動会”というイベントの中で
「犬手宣誓」っていうのをやってもらうんです。

初めて犬手宣誓をしたワンちゃんの飼い主さんが
「私たち まろんファミリーは…」って言ってくれたんです。

とても感動しました。
私たち家族なんだ!つながってるんだ!ってジーンとしました。

それから毎年
いろんなわんちゃんに宣誓してもらうのですが、
みなさん「私たち まろんファミリーは…」と言ってくれるんです。

これも 私たちが言い始めたことじゃないけれど、
「ここは実家だ」って言ってくれます。

嬉しいことです。

◆…これまで渡した頭数はどのくらいですか。

もう700頭以上になると思います。

ブリーダーもしていて、よそのショップに卸ろすこともありますので、
それも合わせるとすごい数になります。

今はネットで社長の名前を入れて検索すると血統書から当店がわかって、
「どういうお店の人がうちの子を作ったのかを見にきました」って
関西から わざわざいらした方もいました。

社長さんのワンちゃんすごい元気でいい子です。
という電話をもらったりとかしますね。

全然知らない人から写真付きのはがきが届くこともあります。

そういう時は「やっててよかったな」って思います。

◆…いろんな人生にも関わりますね。

お子さんが大きくなって夫婦二人の生活になった時に
(あんなに会話がなかったのに)
わんちゃんがいるとわんちゃんのことで、よくしゃべるようになったとか。

一緒にワンちゃん連れて旅行に行くようになったとか。

私たちがやってることは、
そこの家庭に明るさをもたらす存在を作ってるのかなと思います。

◆…商品開発もなさってますよね?

肉アレルギーのワンちゃんがいて、
秋田の佃煮屋さんと何かできないか?ということで生まれたのが
わかさぎのおやつです。
開発まで1年かかりました。
苦くないので好評です。

天然酵母パンのお店とも共同開発したラスクもあります。

今、開発中の野菜のおやつもあります。

この後も秋田のものを使って、開発・提供していきたいです。

◆…飼い主さんたちの意識も変わってきていますか?

変わってきていますね。

洋服もただ可愛いものじゃなく、機能的なものを選んだり、
おやつだったら、オーガニックを選んだり、意識が高くなっています。

歯磨き、保湿…。酵素のお風呂に入っていくわんちゃんもいます。

◆…いきもの、命を扱うことの難しさもあるのではないでしょうか。

長くお店を続けていると
わんちゃんが亡くなることも、
飼い主さんが亡くなることにも直面します。

ペットロスのことも、今後 勉強したいことの一つです。

◆…私たちにとってわんちゃんってどういうものでしょうか。

やっぱり家族でしょうね。

家族だったり、兄弟だったり。パートナーなんだと思いますね。

多くの人にわんちゃんと生活するって楽しいってことをわかってもらいたい ですね。

お金はかかりますし、大変なこともありますが、
それ以上のものをもたらしてくれるものでもあります。

そして、私たちは、今のまま変わらず、
みんなのお母さんみたいな感じのお店でありたいと思います。

(了)
インタビュアー:鶴岡 慶子
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