くりはら ひろみ

栗原 宏美

東京都台東区出身。バンコク(タイ)在住。
和洋女子短期大学卒業。
2002年にタイに移住し、2005年に起業し現在に至る。
百貨店やオンラインで日本のこだわり商品をタイ人に向けて販売している。
学生時代はバスケットボール部。
現在のルーティンはランニング、ウォーキング。

タイ人向け寝具 https://kenkoshop.co.th/
日本企業向けテスト販売 https://japanplus.net/

【2】

…外国人スタッフの雇用に難しさはなかったのでしょうか?

雇用のしづらさはなかったですね。

こんなに真面目に遅刻もせず毎日来てくれるなんてすごいし、
販売も私よりもはるかに上手なんです。
全ての面で自分よりも優れているんです。

日本人の「おもてなし」と比べてどうか?は別として、
私から見たら、みんながすごいので、
私自身のレベルの低さ(!)が良かったかなと思います。

「掃除は心を磨く」というので、日本の企業は掃除をする方が多いですが、
これをタイに当てはめてもいいのだろうか?とも思います。

なぜなら、タイの富裕層は掃除をする人を雇っているので、自分では掃除をしないんです。
それでも「掃除は大事だから掃除をさせます」という企業もあるし、
一方で「うちはさせません」という企業もあります。

掃除については、いろんな議論があって、答えがまだ出てないですね。

うちの会社では、スタッフが掃除をやりますけれど、
細かいことは求めていないです。

なぜなら、私の机が一番散らかってるから(笑)

…転機が訪れたのはいつ頃ですか?

経営者の勉強会のつながりで
通販コンサルタントの方とご縁がありました。

その方はアセアン進出のコンサルタントも始めたところでした。
その方が百貨店の方と会いたいというので取り次いだら
日本フェアをやる話がどんどん進みました。
その方がやるんだろうなと期待していたら、そうではなかった…

やるのは、だったんです(汗)

6ヶ月後にフェアをやることになったのに、
私は相当抜けている部分があって、叱られました。
大人になってこんなに叱られるものなんだ!っていうぐらいに…。

でもこれがよかったです。
私はついのんびりしちゃうので、あのぐらい言われた方がいいんです。
また怒られる!!って思いながらお尻に火をつけて走り回りました。

◼ …どんなフェアになったのですか?

10日間の開催でした。
大盛況だったので、百貨店の日本人スタッフも優しくなりました(笑)

日本から出店してくれた4社の商品に力があったことと
日本からのたくさんの方が来て、トークショーを開催するなどして
大いに盛り立ててもらいました。

タイの皆さんにとっても、日本人が集まるのが珍しかったので
多くの方が足を運んでくれました。
(健康志向の商品は)時代にマッチしていたのでしょうね。

このフェアをきっかけに、常設売り場にもお客様が徐々に増えてきました。
フェアを定期的にやっていく内に、
タイのお客様から問い合わせが増えて 新商品の常設店が出来たり
タイで出店希望の日本企業と百貨店の間に入って仲介をしたり、
最終的に売り場は七つまで増えました。

ただ、良い状態はずっとは続かないものです。

その百貨店がタイから徹底することになったんです。

◼ …それで、どうなったのでしょう?

95% 依存していた百貨店が撤退することになった…、
次の売り場を探し求めてようやく見つかったと思ったら、
コロナ禍でのロックダウン…。

売上は当然止まります。

当時スタッフが11人いました。
仕事がないという状態で、オフィスにも集まれないので、
毎日オンラインでいろんな話をしました。

これからスタッフがもっと増えた時のためにマニュアル動画を作るなど、
何か仕事を作って、息を潜めながら、生き残った感じです。

売上は上がってこないのにスタッフの生活を支えていくことに不安はありました。
今はジャンプする前のこういう時だから、
この時間もちょっと楽しむんだよ、と言いながら内心はビクビクしていました。

でもスタッフに不安な顔は見せられないじゃないですか。
絶対大丈夫!と言わなくちゃいけない…。

あまりにも自分がマイナスな気持ちの時は、
都合が悪いからと言って顔を出しませんでした。
自分が整っている時以外は、引っ込んでいました。

ロックダウン中は、もがきながら、苦しみながらではありましたが、
私自身がしていた通訳の仕事でコンサル業務が追加されていったり
オンラインでの販売を始めて、そこで商品が動いたりして 何とか乗り切れました。

◼ …自分が整うためにやったことはありますか?

最初はランニングから始めました。
1日1kmでもいいから走るということを100日間続けてみようと思ったんです。
そうすれば、自分の心が強くなるかもしれないと思いました。

100日間続けてみたら、ほんの少し自信がもてたので、
ヨガもしてみよう、瞑想もしてみようと徐々に増やしていきました。

自分さえしっかりすれば、何があっても乗り越えられるんじゃないかと思うところもありました。

早起きしてまず走り出す。
早く起きるということは、前夜アルコールをたくさん飲むわけにいきません。
それならば最初から飲まない方がいい…。
そして、朝日を浴びながら、鳥のさえずりを聞きながら体を動かすと自然と整います。

そしてそれは、今も続けています。

◼…今後はどんな展開をしていきたいですか?

私自身は今、やりたいことがいっぱいあります。

この20年、お客様に助けてもらいながら、守られながらきたと思います。
ここまで連れてきてもらった感じです。

うちの経営理念は「お客様をワクワク幸せにする」です。

起業当初からのお客様は、20年 一緒に歳を重ねてきたことになりますよね。
これからも一緒に楽しみながら年齢を重ねていきましょうというメッセージを発信しながら
力強く歩みを進めていきたいです。

『Enjoy Sleep, Enjoy Life』⇨ テーマは”健康”です。

1日は朝スタートするというのが普通だと思いますが、
私たちが伝えたいのは、(1日は)夜がスタートということなんです。

眠ることにワクワクして欲しいんです。
今日のこの気温だったら、
薄手の和ざらし(ケット)がいい、今日は羽毛がいい等、
眠りをクリエイトしながら休むのです。

そうすると、「翌朝」が変わりますし、「翌日」が変わります。

スタートは夜なんです。

最近は、日本の企業がタイでビジネスをしようとする時の支援業務が増えてきています。
そうやって、日本とタイの架け橋になりたいですし、
コンサルタント業務もますます充実させていきたい…。

そしてやはり、もっともっと”健康”を掘り下げていきたいですね。

(了)
インタビュアー:鶴岡 慶子
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