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    気象予報士への道


今日は

気象予報士になるには

気象予報士の資格は、国家資格

  • 学科 一般分野 15問マークシート 60分
  • 学科 専門分野 15問マークシート 60分
  • 実技I 記述式 75分
  • 実技II  記述式 75分

この3科目の試験、4コマが1日で行われます。
午前中は学科、午後は実技です。

合格基準はいずれも7割以上
学科は11問以上。実技は70点以上取れていたら合格です。
なお、試験の難易度によって引き下げられる場合もあります。

気象予報士試験で問われる内容

学科試験の科目

1 予報業務に関する一般知識

・大気の構造
・大気の熱力学
・降水過程
・大気における放射
・大気の力学
・気象現象
・気候の変動
・気象業務法その他の気象業務に関する法規

2 予報業務に関する専門知識

・観測の成果の利用
・数値予報
・短期予報・中期予報
・長期予報
・局地予報
・短時間予報
・気象災害
・予想の精度の評価
・気象の予想の応用

実技試験の科目

1 気象概況及びその変動の把握
2 局地的な気象の予報
3 台風等緊急時における対応

学科の通過が条件

学科を合格しなければ、実技の答案は採点すらしてくれません。
学科が1次試験、実技が2次試験というイメージです。
実技で満点を取っても、学科を失敗すると不合格です。

1日で全てを受験することも可能ですし、
実際、一気に完全合格する方も存在しますが、
まずは学科を通過することが必要です。

学科を通過すると向こう1年間は試験が免除されます。
免除期間に実技に絞って勉強するのが私にとっては得策でした。

私の受験履歴

私は、学科を通過するまで実技を封印しました。
ちょいちょい覗き見することはありましたが、
受験は第51回の後は55回まで受けませんでした。
52〜54回は午前中で試験場から退出しました。

     般   専   実
第51回  ×  ×  /
第52回  ×  ×  /
第53回  ×  ×  /
第54回  ○  ○  / 学科通過
第55回 免除 免除  ×
第56回 免除 免除 ◎ 完全合格

目指したきっかけ

◎きっかけ

2010年 元フジテレビアナウンサーの菊間千乃さんが
司法試験に合格したというニュースを聞いて刺激を受けました。

年齢も近いので、私も何かにチャレンジしてみようと思うようになりました。

ラジオの担当番組内で天気情報・災害情報を伝えることがあって、
気象予報士資格を持てば、情報に説得力が加わると思い目指し始めました。

◎2010年のチャレンジ

初めに「一般気象学(小倉義光)」を手にとりました。
大学の教科書としても使われているもので、
中には物理の計算式がたくさん書かれてあって、
何を書いているのか、さっぱり理解できませんでした。

実は、この頃から父の闘病生活が始まり、
実家と病院を行ったり来たりするため、勉強時間がとれず、
それを言い訳にして、挑戦するのをやめてしまいました。
同時に、持っていた問題集もすべて捨ててしまいました。
この時は一度も受験していません。

あとで記録をみてびっくりしたのですが、
この頃友人に送ったメールの中に
「気象予報士試験を受けることはないと思う」と書いてありました。

◎2018年夏

父の七回忌に遺品整理で、実家と現在の自宅を大掃除していたら
捨てたと思っていた「一般気象学(小倉義光)」がひょっこり出てきました。
次の試験日を調べると2019/01/27(『第51回』)とあります。
1/27は、父の誕生日なので、
「父を言い訳にするな」「チャレンジしなさい」と言われているように感じて
「もう一度気象予報士資格取得の夢を追いかけてみよう」と決意しました。

合格までの道のり

はじめに

父の命日は8月2日です。
七回忌に遺品整理で、実家と現在の自宅を大掃除していたら
捨てたと思っていた「一般気象学(小倉義光)」が出てきたけれど、
内容を理解できないのは同じです。

Amazonで、試験対策本を探してみたら、
以前にはなかった本がたくさん出版されていました。
レビューを見て、決めたのが「らくらく突破シリーズ」です。

本の在庫の関係で、専門分野から勉強をスタートしました。
専門分野はラジオ番組では当たり前になっていることが含まれていたので、俄然やる気が出てきました。

専門分野を一通り勉強した頃、絶対完全合格までやり遂げるぞと心に決めました。

第51回 気象予報士試験

会場の早稲田大学にはたくさんの人で溢れていました。

私が住む秋田からは仙台が近い試験会場ですが
大学時代関東にいたので
地理が詳しい東京会場を選びました。

試験会場にいることが、すでに幸せでした。
一旦諦めてしまった夢に近づけた喜びを感じ、
土俵に立つことができた自分を褒めたいと思いました。

本をまるまる詰め込むような勉強をして
文字通り吐くまで机に向かいました。
とにかくがむしゃらにやったので、
解ったような気にもなっていましたが、結果は1点足りず…。

でも、振り返ると ここで不合格で良かったと思います。
実力がともなわないまま、通過してしまうと
実技を勉強する段階で相当苦労したと思うのです。

次に

独学では、限界を感じたので、
藤田真司の気象予報士塾をフルコースで受講することにしました。

勘違いしていた部分が多く、
用語の読み方の間違いなどもあり、やり直しに時間がかかりました。
独学は回り道だったと思います。

第52回 気象予報士試験

会場は東京大学でした。

学科のみを受験して、あとは試験場を後にしました。
結果に自信があったのですが、この時もあと1点足りませんでした。

実は、終わった後、知り合いの訃報を伝える電話があり、秋田に帰ってすぐに葬儀司会を担当することになりました。
変な言い方ですが、午前中で試験を終えて 電話に出られてよかったと思いました。

こんどは

あと1問の壁を乗り越えるにはどうしたらいいのか?と
学科の過去問を中心に取り組みました。

第53回 気象予報士試験

仙台で受験してみました。

東京受験は宿泊をともないますが、
仙台は日帰りできるので、それを試みたのです。
でも雪の影響で交通状況が変わる場合もあるので、
ちゃんと着けるかな?と思いながら移動するのは
あまりよくないなと思いました。

この影響があったかどうか、試験にはあまり集中できませんでした。

受験地は、北海道、仙台、東京、大阪、福岡、沖縄です。
受験番号は受験地を表す番号からスタートします。
東京で受けていた時はからスタートしましたが
仙台はからスタートする番号です。
20013っていうからあんまり受験者がいないのかな?とも思っちゃいました。

調べてみたら、
東京では毎回2000人ぐらい、仙台は200人ぐらいが受験するようです。

それから

1月の試験から8月の試験までは時間があるので、
2月は1ヶ月、勉強をまるっきりしませんでした。

3回受験して何一つ通過できない自分の実力のなさに
落ち込みすぎて、一旦休もうと決断したのでした。

3月から(誰に教える当てもないのに)学科の授業ノートを作りました。
初学者に教えられるように丁寧に作りました。

人に教えられるレベルというのは
相当理解度が進んでいるということでもあります。
案外知識の抜けがあったんだなということも気付かされました。

Goodnotesアプリを使って作っていたので、
いつでもどこでもiPhoneやiPadで確認しました。

第54回 気象予報士試験

コロナウィルスの影響は試験にも出ました。
移動の制限もあったので、仙台での受験です。

満点を取った!と思ったのですが、間違った箇所がありました。

「水蒸気が多い場合」と理解していた問題文は
「水蒸気が多い場合以外」と書いていました。
自己採点しても、しばらくは なぜ間違えているのかわからないぐらいでした。

理解していても、こんなミスをするのですから
中途半端な理解では通過できない試験だとも思います。

実技に集中

学科を通過して、実技の勉強に集中できるのはよかったです。
天気図を見て記述をするという、まさに気象予報です。
勉強するのは楽しかったです。

あんなに訳がわからないと思っていた「一般気象学(小倉義光)」も理解できるようになっていました。

勉強するってすごいことです。

過去10年分ぐらいの過去問を2−3周する内に
75分以内に解けるようになってきましたし、
得点も8割以上取れるようになってきました。

第55回 気象予報士試験

実技だけの試験だったので、スタートは午後です。
仙台で受けるので、午前中ゆっくり移動できます。

と思ったら、電車(在来線)が止まりました…。
雪の影響ではなく、踏切の故障ということでした。

予定の新幹線に遅れて、一本遅い新幹線で移動することになりました。

仙台駅に着いたら、試験スタートの30分前。
全力疾走で会場に行くのですが、
コロナウィルスの影響で健康観察をしてからの入場です。

あっという間に試験は始まり、
あっという間に試験は終わってしまいました。

何一つ覚えていません。

そうして

過去問をやりすぎて解答を覚えてしまうので、
新しい天気図に出会いたいと思いました。

いろいろ探していたら
TeamSABOTENの「拝啓、予報官X様」シリーズに出会いました。

過去問から一旦離れて、
現象を楽しく学ぶこの動画を3周ぐらい見ました。
(2周目からは2倍速で見ました)

その後、Team SABOTENでは、模擬試験を実施していることや
オンライン講座をやっていることを知って受講しました。
なかでも時短サーキットは更なる時短につながりました。
当日の作図にも生かされました。

Team SABOTENの佐々木先生が
東京高円寺の気象神社にお参りRUNをしてくれて
試験直前にそのYouTubeライブを見ながら泣けてきました。

絶対合格して気象神社にお礼参りをするぞ!と強く思いました。

第56回 気象予報士試験

前回の反省も踏まえて、
午後のみの試験にもかかわらず、仙台に前泊しました。

当日はチェックアウトをしてなお、3時間ぐらい時間があります。
スターバックスでラテをゆっくり飲みながら心を落ち着かせていたら
震度3の地震がありました。

当日移動していたら、また失敗していたと思うとゾッとします。

今回合格しなければ、学科の試験免除がリセットされていたので、
完全合格できてホッとしています。

実技Iも実技Ⅱも、天気図を見るのが楽しいと思いながら問題を解けました。
とりわけ実技Ⅱは、訳のわからない動きをする台風の問題で、
なんだ?これ。ヘンテコだなとニヤけながら解きました。

学科合格までは時間がかかりましたが、
免除リセットを一度も経験することなく合格できたことは
回り道に思えた「あと1問」もこのためにあったのだと思えました。

合格体験談(TeamSABOTEN)

令和3年 気象予報士になる

◎2021年10月

合格発表は10月1日でした。
合格率は4.2%。仙台会場で合格したのは9名(女性3名)でした。

合格通知のハガキには
気象予報士として「登録する」手順が書かれていました。

登録証には2021年10月12日とあります。
気象予報士になりました。

実に高い山に挑んでしまったものです。
何度も何度もそう思いました。

一方で 山の頂きから見える景色はどんなだろう?
頂きに立っている自分に会ってみたい!と 強く思いました。

Studyplus(スマホアプリ)によると、
私の総勉強時間は、3295時間でした。
回り道もたくさんして、かなり時間がかかりましたが、
その分、合格証明書を手にした時の喜びは大きいものでした。

父の没後9年、夢の回収ができました。

その後

Team SABOTENの尾崎先生は、気象防災アドバイザーです。
この資格に憧れました。

どうやったらなれるんだろう?
調べたら募集すらしていない。

それが令和4年、
5年ぶり(2回目)に気象予報士に対して門戸が開かれることになるのです。

およそ300人の方が応募したそうですが、
書類審査が厳しかった…受講権を得たのは60名でした。

気象庁の認定研修は課題も多く、テストもレポートも大変でした。

令和5年度4月1日付で、
国土交通大臣委嘱 気象防災アドバイザーになりました。
秋田県では私が初で、第1号です。

気象予報士資格取得から 間をおかずに
この上位資格を取得できた巡り合わせは まさに奇跡だと思っています。

ラジオでどれだけの人に声が届けられていたのか?と考える時、
もっと市民の皆様のお近くで、命を救う情報を届けていきたいと考えています。