おおた あつこ
太田 敦子
【1】
●…最初から保健師を目指していたんですか?
看護師でもなく、助産師でもなく、保健師を目指していました。
実は、母が保健師(当時 保健婦)でした。
ずっとその姿を見てきたので、その影響が大きかったと思います。
母は、助産師をしながら保健師もしていました。
●…お母さまの姿をどのように見ていましたか。
保健師は、人々を健康にしていく仕事なんだな、
素晴らしいなとずっと感じていました。
母の時代は、結核などの伝染病が多かったり、
高血圧の人たちがたくさんいて、
脳卒中で亡くなる方が多かった時代でした。
だからこそ、血圧は早めに治療しましょう。
結核は、ちゃんと療養しましょう。
そういう形で住民と接していたので、また違った立ち位置だったかもしれません。
私たちは、もっと積極的に健康を作っていこうという時代で、
住民の方々に「どうしたら健康になっていくと思う?」と投げかけて一緒に考えています。
人と交わることが楽しすぎて、やめられないですね!
一つ動き出すと、次のことが見えてくるので、どんどんやっちゃうんです。
私にとって、保健師の仕事は天職だと思っているんです。
●…保健師になるには、まず看護師資格が必要ですよね?
保健師として働くためには、
看護師免許と保健師免許、2つの国家資格の取得が必須です。
保健師国家試験に合格しても看護師国家試験が不合格だった場合は、
保健師資格を得ることができません。
以前は「保健婦」という名称で女性だけが就くことができる職業でしたが、
1993年の法改正で男性も従事できるようになりました。
●…保健科では、どんなことを学ぶのですか?
看護科は、主に医学や患者のケアについて学びますが
保健科は、人々の健康を管理することを学びます。
看護師の仕事は、臨床看護。
保健師の仕事は、公衆衛生看護っていう言い方をします。
地域全体や企業単位での健康指導や健康管理を担いますので、
公衆衛生を元にした学問を学びますね。
●…対象が違うわけですね。
看護師は病気になった方のケア。
助産師は、母と子の健全育成。
保健師は、人々が病気にならないように
病気になっても、それが重症化しないように….。
いわゆる予防活動なんですね。
ワクチン接種も予防活動のひとつですね。
メタボリックシンドローム(通称:メタボ)健診もそうです。
メタボは、まだ病名はついていないんです。
病気にならないような支援をします。
病気になっても重症化しないようにするという面では、
例えば、高血圧の方を早く見つけて脳卒中にならないようにするとか、
糖尿病の方が重症化すると
慢性腎不全になって透析をすることになったり、
目が見えなくなったり、
脚を切断したりということがあるのですが、
そうならないように予防します。
ただ、消極的な予防ということだけではなくて、
健康な人がより健康になるように
健康を作っていく、健康増進というのも保健師の仕事です。