• 後編

うちやま えみ

内山 絵美

【2】

◼️…会社を設立したのは、どのようなきっかけからだったのでしょうか?

合同会社を立ち上げたのは5年前。
設立は2021年の1月、私の誕生日でした。

個人事業主として活動していた時代から数えると、もう13年になります。
そのとき、いくつかのご縁が重なって、トレーナー活動だけではなく、事業をもっと広げていきたいと思うようになったんです。

将来的には資産形成にも取り組みたいと考えていて、実際にその分野で活躍されている方から直接学ぶ機会もありました。
「会社として何年やっているか」というのは、後から積み上げられない歴史だと教わりました。
まだ売上が少なくても、まずは法人として形にしておいたほうがいい──そんなアドバイスをいただいたことも、背中を押してくれました。
そこで「早いうちに会社を作ろう」と決断したんです。

◼️… 会社名の「Laughin’Body(ラフィンボディ)」には、どんな意味が込められているのですか?

“laugh(ラフ)”には、にっこり笑うよりも「心の底から笑う」という意味があります。
体づくりを通して、そんな“心からの笑い”を届けたいという想いを込めました。
会社にする前から屋号として使っていた名前を、そのまま法人名にしています。

実は、専門学校時代にストレスで一時顔面麻痺になったことがあるんです。
ある日突然、右半分の顔が動きにくくなってしまいました。
振り返ると、当時は「作り笑い」ばかりで、心から笑っていなかったと思います。
人間関係や責任の重さの中で、顔は笑っていても、心では泣いていたのかもしれません。
その経験を通して、「笑わないと、本当に笑えなくなるんだ」と痛感しました。
だからこそ、心の底から幸せに笑える人を増やしたい──その思いが、今も変わらず活動の原点になっています。

特に”母親は家庭の中の太陽”といわれることがあります。
お母さんが笑っていれば、子どもも夫も自然と笑顔になる。
家庭に笑顔が増えれば、職場でも、社会でも、笑顔が連鎖していく。
そんな“笑顔の循環”を広げることが、世界を少しずつ平和にしていくと信じています。
だから私は、「Laughin’Body」だけで終わらせるつもりはないんです。
この先は「Laughin’Group(ラフィングループ)」として、笑顔をテーマにした新しい取り組みをいくつも生み出していきたいと考えています。

そんな想いを胸に、目の前の一人一人と向き合いながら活動を続けています。

◼️…ラジオの世界には、どのように関わるようになったのですか?

もともと、ラジオのオーナーになるつもりも、パーソナリティをやるつもりもまったくありませんでした。
きっかけは、「ホンマルラジオ表参道局」のパーソナリティの方とのご縁でした。
番組にゲストとして出演させていただいたことが始まりです。
そのとき、当時のオーナーさんに気に入っていただいて、経営のこともいろいろと教えてもらいました。
その流れで「パーソナリティをやってみない?」と声をかけていただいたんです。
思い切って挑戦してみたら、これがとても楽しかったんです。

人のお話を伺うのが面白く、番組を通して目の前の方の想いを多くの方に届けられることに大きなやりがいを感じました。
そのうちに収録を任せてもらうようになり、「今度は作る側でディレクターをやってみない?」と声をかけてもらいました。
そこからディレクターを経て、プロデューサーへとステップを重ねていきました。

そして約2年前、前のオーナーが別の事業を展開されることになり、
「ラジオ事業を引き継いでほしい」とお話をいただいたんです。
そうして、私が三代目のオーナーとして表参道局を任せていただくことになりました。

表参道局だけで1552収録、全局では年間250万人のリスナーさんがいるホンマルラジオに関われていることは幸せです。

◼️… AIを掛け合わせた活動もされているそうですね。

今年の2月に「生成AIパスポート」という資格を取得しました。
まだ始まったばかりの新しい資格で、安全に生成AIを活用できることを証明するものです。

AIはとても便利な一方で、リスクもあります。
だからこそ、その仕組みを理解したうえで、正しく使えるようになりたいと思って学びました。

その学びを踏まえて、新しい肩書きをつけたんです。
「AI×メディア戦略プロデューサー」。
ラジオ局のオーナーとしての経験を活かしながら、
AIを掛け合わせることで企業の成果を高め、
番組や発信を通してブランディングをサポートする──そんな形で活動の幅を広げています。

◼️…トレーナーやインストラクターの世界で、どのような課題を感じてこられましたか?

ネットを使った活動は、ゼロから自分で立ち上げました。

最初から「どうすれば自分の手が離れても仕組みが回るだろう」と考えていて、
もちろん初めのうちは自分自身も現場に立っていましたが、
最終的には仕組みを整えて、インストラクターさんたちがしっかり収益を得られるようにしたかったんです。

特に女性のインストラクターは、妊娠や出産をきっかけに現場から離れると、元のポジションに戻れないことが多い。
泣く泣く仕事を辞めてしまったり、知識や技術があっても活かせないまま終わってしまうケースを、たくさん見てきました。
「そんな人たちが無理なく働き続けられる仕組みを作りたい」──そう思っていたとき、Zoomの存在を知ったんです。
まだ世の中ではあまり知られていない時期でしたが、
「これを使えばできる」と確信し、Zoomを活用してオンラインで活動できる仕組みを作りました。
そこに共感してくださったインストラクターさんたちに入ってもらい、少しずつ形を整えていきました。

その後、コロナ禍が訪れ、世の中が一気にオンライン化しました。
「私が信じてやってきたことは間違っていなかった」と確信できる出来事でもありました。

さらに、ラジオ局の前オーナーも「仕組みづくり」を大切にされる経営者でした。
その方との出会いで、「仕組み化ってこんなに大事なんだ」と心から実感したんです。

自己流でやっていた頃から一歩踏み出し、経営者の方々に直接学ばせていただきながら、五年間、現場を見続けてきました。
その中で、仕組みづくりや組織づくりの奥深さ、そして人を生かす力の大きさを痛感しました。

◼️…これまでの歩みの中で、ご自身が大切にしていることは何ですか?

私が大切にしているのは、「人が心から笑えること」です。

今の日本は仕事のために毎日を生きている人が多いように感じます。
だからこそ、プライベートを大切にしながら、心豊かに生きられる仕組みをつくりたいんです。
AIを活用しているのも、そのためです。
効率化によって時間を生み出し、その分を家族と過ごしたり、お子さんと遊んだりできるようにする。
「ちょっと待ってて」と言わなくても済むような暮らしができて、
しかも収入も同じかそれ以上に得られるなら、それが理想ですよね。
そうすれば、人として生まれた意味を実感できるんじゃないかと思うんです。

私は自由が好きです。
だからこそ、自由を守るために仕組みを作っています。
仕組みで心身ともに豊かな人を増やす。
自分らしいスタイルで、心から笑える幸せな時間を大切にしていきたい──それが、私の生き方の軸になっています。

◼️…これから先、どんな未来を思い描いていますか?

自分の住所は「地球」というのが目標で、家庭や仕事のバランスを大切にしながらですが、
どこへでもふらっと行ける状態を作りたいと思っています。

もちろん、今は世界的に治安が不安定な地域もあるので、慎重に考えなければいけない部分もありますが、
私はもともと知らない人との出会いや、異文化との交流、未知のものに
触れることがとても好きなんです。
そのために、社長である私がどこにいても会社がきちんと回る──そんな組織の仕組みを整えていきたいと思っています。

今後の展開としては、海外も十分に視野に入れています。
日本に拠点を置くことにこだわらず、海外に本拠地を構えて、
そこから“逆輸入”のような形で日本にサービスを届けるのも面白いと思っています。

ただその一方で、足元をしっかり固めていくことの大切さも感じています。
大きな夢を描きながら、一歩ずつ着実に積み重ねていく──そんな未来を目指しています。

人生のステキに会いにいく
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