• 後編

    内海恵美子さん【ライフコーチ(パーソナルコーチング)】

うつみ えみこ

内海 恵美子

【2】

◼️…研修の仕事をするきっかけを教えてください。

それまでも、単発で新人研修の講師をしたことはありましたが、
キリンビールの工場見学案内の案内ガイドさんの研修・育成に携わったのが本格的なスタートです。

司会の仕事を抑えようと思った時に
たまたま新聞広告で募集広告を見つけました。
ただ、その面接日が司会本番の日と重なっていたので、
ダメ元で、面接を最後にしていただくように頼んで、
披露宴会場から面接会場に直行したんです。

披露宴会場は代官山、面接会場は原宿だったのですぐ行ける。
ただ、面接の格好ではないんです。
色は黒ですが華やかな衣装。
面接会場に入ったら、面接官もぽかーんとしてました。

結婚式で一番印象に残ったことなどを聞かれて、
みんなで創り上げること、感動したことなどをペラペラと(笑)話しました。
応募人数は600人を超えていたのですが、二人採用の内の一人に選ばれました。

◼️…どんなお仕事をしたのですか?

研修の仕事の前に、キリンビールがスポンサードをしてるディズニーリゾートで
スポンサー事業をに関わる女性スタッフのマネージメントを担うことになりました。

ディズニーシーがオープンする時でしたので、毎日浦安に通い、
ディズニー流のスタッフ教育ノウハウに触れたことも、良い経験だったと思っています。

そこで二年勤めた後、工場見学案内の現場に異動しました。
工場見学の現場のマネージメントや、工場広報的な業務に加え、
案内ガイドやサービススタップの研修プランや育成プログラム作成などが主な仕事でした。

そこで夫と出会うのです。

◼️…どんな出会いでしたか?

彼は工場のシステムエンジニアでした。
同じ会社でしたが、接点はなかったんです。

出会いはある日の京急電鉄です。
時差出勤だったので、昼ぐらいの空いていた電車内。
目の前に、分厚い本を読んでいた知的な男性が座っていたんです。
肩幅が広い感じもいい(笑)。素敵だなって思いました。
もちろんその時は、私が一方的にそう思っていただけで、それっきり。
その方は、私に気づかず、そのまま他の車両に移っていかれました。

ある日、忙しさが一段落した頃、同僚が
「同期の男性と一緒に飲みませんか?」というので
飲みに行くことになりました。

同僚に連れられるままに、出かけて行ってみると、
そこにいたのは、私が先日、昼下がりの電車で見かけた
目の前で本を読んでた「あの人」だったのです。

その飲み会で意気投合した後、お付き合いをはじめ、
その後、彼が福岡への転勤、私も福岡へ移住を決断し、
結婚しました。

◼️…福岡ではどんな生活が始まりましたか?

東京で経験を積んできた、研修に関する仕事をもう少し続けたいと思っていたところ、
ソフトバンクが福岡にコールセンターを作ることが決まり、
そのトレーナーを募集しているというので、応募してみたところ、
無事採用されることになり、会社員として働き始めました。

コーチングを学んだのは、その時です。

当時は、スポーツの分野で使われるぐらいだった時代で
コーチングという言葉が出始めた頃。
ビジネスにおけるコーチングを、日本に持ち込んだ方に直接教われたのは幸運でした。

コールセンターには毎週毎週新人のオペレータが100人ぐらいずつ入ってきます。
まずトレーナーを育てて、そのトレーナーに新人教育をしてもらうという形です。
コーチングをトレーナー育成にも使って面白さを感じていました。

ただ、立ち上げの仕事は、朝8時に出勤して、帰宅は23時。
激務でした。

◼️…どんなきっかけで独立することにしたのですか?

さすがに体がもたなくなって、流産を三度しました。
会社を辞めることにしたのと同時に、夫もフリーランスで働く方向へ舵を切ったことから
しばらくは夫と、新婚なのに”老後みたいだね”と言いながらのんびり過ごしました。

コールセンターで学んだコーチングを個人向けにやったらいいんじゃないか?
いつかパーソナルコーチングができたらいいなという思いがあって、ブログを書き始めました。

初めは「話し方」などが主な内容でしたが、全く読まれない。
コンサルタントに相談したら「むしろ結婚や恋愛について書いたらいいのではないか」という回答でした。

結婚式の司会者としても実績があって、自分もずっと結婚もできず40歳で結婚。
まだ結婚してない働いてる人達に向けて発信してください。
そして、ご自身の経験をコーチングで使ってください。と指南いただいて、
そういう記事を書き始めました。

誰かに向かって書いているというより、
昔の自分に向けて書いてた感じだったかもしれません。
頭で考えすぎなくていいよ・・心の声に従って大丈夫だよ・・と。
書いていくうちに、自分自身も整理されていくことになっていくので、
書き続けることは苦ではなく、むしろ楽しかったです。

ブログ記事に、反応がない時も、
毎日書くことを「仕事」と決めて、書き続けているうち、
少しずつ、それを受け取ってくれる人が現れ、
お客様として、きてくださるようになりました。

恋愛・結婚に関するコーチングセッションは、手探りではありましたが、
それについて悩んでいる人の相談に乗る・・という感じで始めました。
だけど、やりたいことは、婚活支援ではなかったんです。
結婚させたいわけじゃないんですね。
結婚するために女子力あげましょう…ではないんです。

お客様のお話は、
「なぜ私は結婚できないんでしょうか?」が入口ですが、
話を聞いてくと、たとえば、
「今、自分は仕事が面白い。実は結婚したいわけじゃないけれど、
周りは結婚しろって言うし、周りも結婚していく。
あたしはおかしいんじゃないか?」というように、
既存の価値観に合わない自分を責めている方が多くいらっしゃいました。

ちっともおかしなことじゃないし、
その固定概念や、親世代の価値観に縛られなくていい。ということを、伝えてきました。
でも、長い時間をかけて培われた考え方は、意識の深いところまで染み付いてきているので、
思考は行ったり来たりしますし、自分を責める心の癖のようなものも、すぐには変わりません。

本人も頭ではわかっているので苦しいわけですが、そこを切り抜ける近道って、実はないんですよね。
少なくとも、誰かや何かが、パッとどうにかしてあげられることじゃない。
支援者にできることは、ただそのプロセスや来るべきタイミングに寄り添うことだけ。
それは私自身の非力さを受け入れて向き合うことでもあり、とてももどかしいですが、
それでも、一緒にその道を模索し続けるうち、身体感覚や無意識の部分が変わっていくと、
だんだんと思考がゆるみ、ふと、気づきが生まれる時がある。
その気づきによって、だんだんと(一種の)呪いが解けていくんですね。

時間はかかっても、そうやって、自分自身でいることに、安心してくつろいでいるようになっていくと、
その人の魅力というものが、くっきりと存在感を増すので、
結果的に、結婚するご縁が生まれて・・という例も、たくさんありました。

◼️…どんなことを大事にしていますか?

「自分を大切にする」という道筋を、一緒に見つけていくことを大事しています。
なので、アドバイスというよりは「セッション」という形で、とにかく話を聞きます。

継続セッションなら、
一ヶ月後会った時にこの一ヶ月どんなことあったのかを言語化してもらったり、
メールのやり取りによるセッションなら、
自分の中にあるものを、その都度、言語化して外に出してもらって、
そこに、リアクションを返していくと、そのやり取りの中で、
ふと、その人の中に「気づき」が生まれることがあります。
それを促していく支援をしてきました。

また、実際に自分を大切にすることは、自分にしか出来ないし、それも特別な何かではなく、
日常の小さな「習慣」なので、自分をケアする習慣が失われないようにすることも、大事にしています。
そのためのワークを提案したり、一緒に伴走することもあります。

今をときめくコーチング、という感じとはちょっと違うと思います。
ベースはコーチングなんですけど、
私に出来ることは、何かを達成するとか、目標に向かって引っ張っていく、というものではないと思っています。

教えるとか導く・・ようなことではなく、
親や友だちにも話せないようなことを話せる親戚のおばちゃんのような存在でいたいのです。

このコーチングをやるようになってから
「身体性」の持つ可能性について興味を持ち、学ぶことも増えました。
頭で理解するだけなら、本を読めばいいけれど、人と人は、頭だけでは響き合わないからです。

やり方とかノウハウ以前に、「あなたの生き方でいい」という
生き方そのものが全部、反映されるものである以上、
私自身も、その時の自分の心と身体と向き合うことを心がけています。

自分の身体が落ち着いていること。
穏やかで、リラックスしていること。
それが、そのまま相手の心拍や、自律神経に響いていくものです。

考え方の癖が強い人ほど、
体がぎゅっと固まっていることが多いんですよね。

交感神経が優位で、緊張している状態がほどけてくると、
心のほうも、同時にほどけていくのを何度も見てきました。

病気を治すカウンセリングとは、担当領域が違うことを自覚しています。
私は、自分の身体の中にある「健やかな部分」を使って、
相手の健やかさとつながる、というやり方を少しずつセッションに取り入れていきました。

誰かの型ではなくて、理論先行でもなくて、
生き方そのものを、そのままシェアしあうようなセッションを意図しています。

やがてクライアントさん達は卒業していきますが、節目節目で会いに来てくれます。
悩みって変わっていくんですね。
結婚したら、こんどは子どもについての悩みがでてくる。
私も成長していく(年を取っていく)のと一緒に、クライアントさんも人生のステージが変化します。
普段は遠く離れていても、時々、思い出して話をしにきてくれる。
そのような長いお付き合いのお客様が多くなってきているのが、大変ありがたいです。

◼️…ご自身の健やかさを保つ秘訣は何ですか?

環境・・特に、海は大きいと思います。
夫がサーファーだったので、福岡に来て私もサーフィンを始めました。

私たちはつい物事をコントロールしようします。
できないものもしたくなるんですよね。人の気持ちもそうです。

波ってコントロールすることできないので、波に乗っていくことしか出来ないですよね。
サーフィンをしていると、コントロールしないことの大切さを学びます。
そして心と体が健やかになっていくの感じます。

ノウハウを知りたいと思う方からは「(あなたの人生)全部偶然ですね」と言われることもあります。

でも、人生って、目標に向かって努力することの大切さと共に、
自分にはコントロールできない「偶然」が、動かしていくものでもあるんじゃないでしょうか。

自分の思った通りには進まないのが人生。
でも「こんなはずじゃなかったのに・・」と思った その先に
思ってもいなかったような世界が広がっていて
それをつかもうするところに、人生の宝物があるのだと思うんです。

ままならない人生の荒波に必死に食らいついているうち、
気がついたら、思いもしなかったような、面白い場所にたどりついた・・
そんなことが起きるのが「人生のステキ」とも言えるんじゃないかと思っています。

◼️…これからどんな活動をしていきたいですか

一昨年、還暦を迎えました。
そんな人生の節目を迎えて、改めて感じているのは、
やはり身体が大切だということです。

私は毎日ヨガをしています。
ヨガを教えるとか、インストラクターを目指してるといいうわけではありませんが、
運動不足の中高年が一緒に体を動かすことを「習慣化」する場があったらいいと思ってるんです。
体をほぐしていくと、心もほぐれていく。
そんなことを、もっと伝えて、一緒にやっていけたらいいなと思っています。

習慣化というと、最近私は、10年以上続けてきた「ブログ毎日更新」という習慣をやめました。
(ブログ自体は続けています)
やめるのには、正直、勇気がいりました。
習慣になってたので、書かないと気持ち悪いし、
お客さんが離れていくんじゃないか、という不安もありました。

でも今は、ブログによる集客からは少し離れて、
広げるよりも、深めることを大事にしたいと考えています。

数は少なくても、ご縁を頂く方々と丁寧につながって、
求められるならば、自分の引き出しにあるものを惜しみなく差し出して、
自分をケアする「習慣」や「場」をつくれたら・・と。

自分の心の声に従う勇気は、健やかじゃないと出てこないものです。
「私は私でいい」と思える場をつくりながら、
健やかさにつながる活動を、続けていきたいと思っています。

人生のステキに会いにいく
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