【2】
◆…絵はずっと好きだったのでしょうか?
好きでした。
絵が特別に上手だったわけじゃなかったですが(人物画は苦手)、
学校の美術は、ずっと成績が5でした。
幼い頃から絵を描くことが好きで、
特に漫画が好きで真似して描いていました。
模様を描くのがずっと好きだったと思います。
◆…その模様の中で、花をモチーフに活動しようと思ったのはなぜでしょうか?
一番しっくりきたんです。
描いてて気持ち良いんですね。
いろんなジャンルで描いてみたのですが、
やっぱり花が一番いいなって思うんです。
ヘナタトゥーのデザインや文化に興味を持ったことも大きいと思います。
ヘナタトゥーは、インドのヒンディー語で「メヘンディ」に由来するもので、
ヘナ粉のペーストを使って身体に模様を描くものです。
5000年ほど前から北アフリカや中東、インドなど
世界各地で厄除けや幸運を招くものと信じて行われていたんです。
(ネットで)偶然見つけて、これは面白いって思いました。
自分の腕にボディーペイントペンをしてみたり
ヘナタトゥーも実際にやったりしてSNSにすぐに載せました。
そのアジアンな感じが好きで、和柄にもこだわるようになったのかもしれません。
シンメトリー感も魅力だなと思います。
◆…作品の花は、広がりがある感じが素敵だなと思います。
特にライブペイントでは、
たくさんの花が繋がっていく感じ、その流れを作っていくのが楽しいんです。
ライブペイントでお願いされた時の時間によって、花の大きさも調整します。
パネルの大きさでも調整するのですが、
パネルを小さくし過ぎると見えなくなっちゃうので、
大きいパネルで花を大きめに描いて、繋げる花の大きさもこだわっています。
あとは、線の太さはめちゃくちゃこだわっていますね。
◆…どんなこだわりですか。
しっくりくる線(笑)
言葉にするのは難しいですね。
細いなと思って、ちょっと太くしていって
これだっていう、しっくりくるところがあるんですよね。
もう感覚なんですよね~(笑)
でも、しっくりくる、納得するまでやり切るところはこだわりです。
◆…これまで活動してくる中で印象的なことはどんなことですか?
私の中で、ターニングポイントが3つあると思っています。
1つ目は90歳のおばあちゃん。
2つ目が支援施設でのワークショップ。
3つ目が(青森県)三沢でのイベントです。
◆…1つ目90歳のおばあちゃんは、どんな方ですか?
あなたの絵で塗り絵がしたいって言ってくださった90歳のおばあちゃんです。
何カ月間か、銀行で絵を展示してもらった時に、連絡をくださいました。
あなたの絵で塗り絵をするのが私の生きがいですって
毎回声を掛けてくれるのです。
かなり細かい絵ですが、しっかり塗ってくださっていました。
コピーしてずっとやっていると おっしゃってました。
クリアファイルで もう何冊分にも なっています。
駆け出しの頃に声をかけてくださったので、励みになりました。
◆…2つ目。ワークショップをすることもあるんですね。どんな内容ですか?
透明のフィルムに事前に私が花を描いておきます。
そこに子どもたちが油性ペンで色を塗ります。
半透明な感じになります。
そのフィルムっていうのは、写真が入る額についているフィルムカバーで、
色を塗ったフィルムを額にはめる時に、
絵の下にアルミホイルをクシャクシャっとしてはめると
きらきらして、ステンドグラスみたいになります。
塗り絵がまだ難しい年齢の子でも
背景の模様みたいになるんですよね。
年齢関係なく楽しめる内容だと思います。
支援施設では、
普段はずっと座ってるのが難しいという男の子が、
このワークショップだけは、
20分間集中してしっかり作品を完成させたと後から先生に聞きました。
とっても嬉しいなと思いました。
他に大人向けにも いろんな内容で開催しています。
ワークショップはお声がかかれば、どこにでも行きます(笑)
◆…そして3つ目、三沢のイベントではどんなことがあったのですか?
三沢って基地がありますよね。
そこで出会ったアメリカ人の方にとっても素敵な感想をもらいました。
シャッターペイントをやったんですけれど、
「あなたの絵枯れないからすごくいいね」って言ってくださったんです。
このことばを聞いて、ちゃんと続けようって強く思いました。
このデザインを世界中に浸透させて、
枯れない花を世界中に咲かせようって思ったんです。
◆…今後はどんな活動を展開していく予定ですか?
いま、やりたいことは無限にあります。
秋田で生まれて、ずっと秋田にいますが、
アトリエの場所は関係ないと思っています。
秋田が しっくりくるので、
この後も秋田を離れないと思います。
足さえあれば、世界中どこにでも行けますから、
秋田にいて、できないことは一つもないと思います。
NFTや版画、浴衣、着物、グッズ…。
いろんな方、いろんなブランドとのタイアップもどんどんやっていきたいです。
真似すれば、この絵はたぶん誰でも描けると思います。
でも、描く時の線の太さのこだわりや、
シンメトリーになるような花びらの描き方、
和柄を取り入れたデザインを創り出すのは”私”なんですよね。
日本の文化とともに、この「花和柄」を発信していきたいです。
花のバリエーションをもっともっと増やして、
世界中に、枯れない花をたくさん咲かせていきます。