あずま り な
東 里奈
【2】
◼️…ファイナンシャルプランナーになるきっかけは何でしたか?
コロナ禍がきっかけと言えると思います。
大学を卒業した後、25歳まで東京で会社員として過ごしました。
コロナ禍に突入した時、勤務先は商社だったので
物流がストップして、
海外からの部品の仕入れができなくなったため、
ほぼ自宅待機の状態になりました。
私は15歳の時から家を出て県外で進学しているので
このまま何もせずに後悔するのは嫌だなと思って、
地元の大阪に帰還することを決めました。
実は、母が大阪で飲食店をやっていたのですが
ご承知のとおり、コロナ禍ではかなりの打撃を受けた業界です。
補助金の申請を母からお願いされて書類を見たけれど、
とても複雑で分かりにくい。
でも、やらなければお店が立ち行かなくなるので
初めてお金に関することを調べることになりました。
結局、補助金の申請は通りましたが、
これを知らない人は野垂れ死にだ!と思ったんです。
制度はあるのに(その制度があることを)誰もわざわざ教えてくれない。
自分で知識武装をしないと貧困の要素になってしまうと感じました。
どうしたらいいか調べて出てきたのが”ファイナンシャルプランナー”でした。
◼️…まず資格を取得したのですか?
資格取得の勉強をまず始めました。
25歳の女性としては、結婚、出産、自分のライフワークなど、
ちゃんと考えないと私の人生はおそらく詰むって思ったんですね。
私は何がしたいんだろう。
やりたい仕事も特になく、
仕事になるとは思わなかったけれど、
とりあえず自分の知識さえつけて、
損さえしなかったらいいという気持ちでした。
その時にちょうど大学の先輩が大阪で起業したことをSNSで知りました。
世の中もようやく外で出始めていた時期で、
その先輩と会って話をしている内に、自分の気持ちも整理されていきました。
◼️…起業するきっかけになったのでしょうか?
女性アスリートのために何かしたいと話したら、
先輩が、キャリアアドバイザーの方を紹介してくれました。
転職の相談を請け負ってくれる方で、
その方の本業がファイナンシャルプランナーだったんです。
後に私自身が所属する事務所の先輩です。
年は一つ下ですけれど、すごく尊敬できる方だったので
あなたみたいになるにはどうしたらいいんですか?と聞いたんです。
そこから起業する道を探るようになりました。
親は、自分でお金を生み出すことをやってるのに、
私はなぜか会社員という形でしかお金稼げないという固定概念を持っていて(笑)
そうか、自分で生み出せばいいんだ!と思いました。
商社勤務を辞めて半年間の失業保険をいただいている間に
前職の給料を超えられなかったら独立を諦めると宣言をして始めました。
結果、半年内で達成できたので、
現在はファイナンシャルプランナー事務所に所属して
お仕事をしています。
◼️…女性アスリートのためにしていることはどんなことですか?
アスリート専門のファイナンシャルプランナーという形で、
アスリートのセカンドキャリア問題を解決するために活動しています。
なでしこリーガーもたくさん知っていますが、
サッカーに全集中してきたから(サッカーを取ったら)どうしたらいいかわからないという方が少なくない。
やはりそれを変えたいんですね。
現役の間にお金の勉強をしっかりして、
心配がない状況を作ろうと思って、
Jリーガーの方をメインに金融教育をしています。
私自身もまだ現役アスリートですが、
現役のアスリートが現役のアスリートに何かを教えるってあんまりないケースです。
◼️…仕事の面白さはどの辺にありますか?
お金のことは、誰も教えてくれないし、
知らずに損をしてる人も多いから、そういう人たちを助けられるところですね。
幸せって、健康 × 人間関係 × お金のバランスだと思っています。
健康や人間関係については多くの人が気にするけれど、
お金だけ気にしない、知らない、学ぼうとしない人が多いように思います。
幸せを手に入れるための手段の一つがお金だと思うんです。
幸せになりたいと思ってるのに、お金のことを知らなかったら、
お金の神様も幸せにしてくれないって思います(笑)。
私はもともと勉強することが苦手で、
大学は経営学部だったのですが、全くお金のことは知りませんでした。
授業中、寝ていたからかもしれないですが…(笑)
お金のことは義務教育で学習できたらいいですね。
最近は高校の授業に入っていますが、プロがちゃんと教えられたらいいと思います。
そして、アスリートに限らずですが、
日常に勉強する時間を取り入れた方がいいですね。
幸せは学ぶことについてくるものなんじゃないでしょうか。
私も学ぶのが好きになったし、毎日が勉強です。
博識な女性ってイケてるって思います(笑)
頭のいい女性って魅力的だと思いますし、
そういう人に自分も近づけたらいいなって思います。
◼️…勉強していく中で驚いたことはありましたか?
めちゃくちゃありました。
日本の常識は世界の非常識だと思うこともあります。
グローバルな視点で物事を見ると
日本には情報が日本語でしか入ってこないので、鎖国と言える部分もあります。
情報にはバイヤスが必ずかかっていて、偏りがあるものです。
ニュース一つをとってみても、思想がどちらかに偏っています。
プロの金融マンとしては
中立な立場で物事を多面的に見る必要があって、
正確な情報をお伝えした上で
お客様に選んでもらうのがとても大事なことです。
他には、同じ事務所のメンバーで情報交換しながら
メディアやSNSで、良いサービス、良い株のニュースを見たら
どうしてそれが良いのか、何が起こっているのか、
その裏の裏まで考えるようになりました。
この先も、海外研修や情報交換を通じて専門知識を深めていきたいです。
◼️…お客様にはどんな相談を受けているのですか?
お金周りのことは何でも相談していただきます。
今入ってる保険が適切なのかを見てほしいという、
セカンドオピニオンとして使っていただいたり、
固定費の削減と資産運用、相続、不動産の売却など、本当に十人十色です。
家族構成や貯蓄状況、月々のキャッシュフロー、
目的によって
全てアドバイスは違ってきます。
◼️….今後どう展開していきたいですか?
大きく3つあります。
1つ目は、今、Jリーガーの方に金融教育をさせてもらっていますが、
若い選手を若い段階からしっかり教育する仕組みを確立したいです。
現役時代は資産形成をしながらプレーをして、
引退のタイミングで資産収入を得てもらいたいんですね。
株なら配当、不動産ならば家賃収入、債券なら利息などがあります。
アスリートの方は結果がともなえば、短期間で収入があげられる面があります。
億単位の資産を作って、引退の時に資産収入を得ていく選手を輩出するのが目標の一つです。
とはいつつも、それができない人の方が多いので、
その方々に向けて力になりたいというのがもう1つのやりたいことです。
サッカーをしたことを誇りに思ってほしいし、
次の人生に生かしてほしいという想いが強くあります。
今年(2025年)始める予定ですが、
元選手に話を聞いて、引退後の人生をについて動画配信することを考えています。
現役中にやっぱりわざわざ引退した後のこと考える選手も少ない中で
こっちから強制的に見るような媒体に流してあげようと思うんです。
あ、この選手知ってるぞ、
今こういうことをこういうところでやってるんや
年収はこれぐらいか
こういう思いでやってんねんな。
俺もこういう仕事やってみたいかも
という形で配信すれば、
それを現役の選手が見て、
自分のキャリアを考えてもらうきっかけになるでしょうし、
企業側の人材獲得に繋がるだろうと思います。
そういう媒体の運営も今年はやろうと思って、もう一つ会社作ろうと考えています。
そして、ビーチサッカーとしてのチームの運営として考えることは、
引き続き、女性がスポーツを通して輝けることを体現していくチームでありたいということです。
ビーチサッカーはまだまだ知られていないので、
社会に貢献することを考えたら
まずチームが日本一になることだと思います。
アスリートである限り勝つことはとても大事です。
(勝つことの)その先に人に感謝されること、
例えば、チームをハブとして、スポンサーさん同士の交流など、
新しいご縁を広げていきたいです。
サッカーをやっていなかったら、出会えなかった人や事がたくさんあります。
今こうして、自分のやりたいこともできていないと思います。
福井での高校生活でも、神奈川での大学生活でも一生の友だちに出会えました。
物事に向き合う考え方や、ご縁など、サッカーがもたらしてくれたものは大きいです。
本当にサッカーに感謝しています。