たけしま のりこ

竹島 仁子

秋田県大館市出身。
日本大学芸術学部卒業。
AKT秋田テレビ アナウンサーを経て現職。
当時の担当番組は「みどりの広場」「久保田民謡国めぐり」など。
現在、秋田県法人会連合会会長。秋田商工会議所女性会会長。

株式会社 料亭 濱乃家
秋田市大町四丁目二番十一号
TEL.018-862-6611
FAX.018-864-5878 

https://www.hamanoya.co.jp/

【1】

Q.料亭 濱乃家は創業何年ですか? 

創業が大正7年ですから、106年になりました(2023年11月現在)
場所も変わらず、ずっとこの場所(秋田市大町四丁目)です。 

Q.エントランスの竹が印象的ですよね。 

ここ周辺は、秋田県内でも有数の繁華街で、
夜、歩いている方が、素敵ですねってよくおっしゃいます。

入り口を一歩入ると、違う場所に連れてこられたような感覚になるようです。

実は創業100年を機にリニューアルいたしました。
玄関ホールのレイアウトを変えて、床を畳にしました。
また、お席を全て椅子にしました。

ただ、外観も内装も そんなに変わっていないですね。
多くの方々に「素材を残して欲しい」というお声もいただきまして
当時の趣をそのままにしています。

維持する方は大変ですけどね(笑) 

Q.コロナ禍はお休みされていたのでしょうか。 

3ヶ月間、休業いたしました。

ただ、わたくしどもは きりたんぽの全国発送もしていますので、
コロナ禍にあっても、
たくさんの方の「おうち時間」のニーズに応えられたかなと思います。 

Q.「きりたんぽ」は、料亭濱乃家の代名詞でもありますね。いつごろから始めたのでしょうか? 

先代が始めたもので、40年以上になります。

きりたんぽ鍋は、郷土料理・家庭料理で、家庭によって味が違います。
ですから、本来、料亭のお座敷には向かないのです。
たとえば、カレーライスや肉じゃがをお座敷で出すのと同じなのです。

それを先代が県外のお客様がいらした時にお食事として出したのが始まりです。
当時、相当新しい試みだったと思います。

「料亭のお座敷のきりたんぽ」であるためには、
まず、お客様に「本日のお食事はこちらです」と言って、
大きなお皿に盛り付けをしたきりたんぽの素材をお見せします。

その後、商談や接待のお邪魔にならないように、
部屋の端できりたんぽ鍋を作ってお出しします。
このように、家庭料理を料亭のお食事にグレードアップさせたのは先代です。

さらに、まだ秋田空港が海側にあった時代。昭和50年代ですね。
旧秋田空港から、ジェット便に乗せて全国発送したのも先代です。
「新鮮さをジェットに乗せて」という、かわいいキャッチコピーでした。

郷土料理は、その土地に根付いて、
その土地で食べるのが一番美味しいと思いますが、 世に広げたのは先代の力でしたね。

きりたんぽは わたくしどもの 主力商品ですし
ありがたいことに、「きりたんぽなら濱乃家」と言っていただいているので、
その期待を裏切らないように
きりたんぽ一本一本の手作りと、4日間煮込んだ出汁。
この伝統は、変えずにいきたいと思ってます。

 

Q.現在の年間のスケジュールは、どのようになっていますか? 

年が明けると、新年会からスタートして、春は歓送迎会があります。

大型連休や、夏のお祭りの時期は、県外のお客様が多くなります。

になると新米が出ますから、新米で作るきりたんぽのご注文が増えます。

はお歳暮、忘年会が多いですね。

県外のお客様が多いですから、
ランチもきりたんぽランチのご希望が多いです。
それは季節に関わりませんから、夏でもお出しします。

夏6月・7月は、じゅんさいが出ますので、「じゅんさい鍋」を去年から始めました。
やはり秋田のものですので、喜んでいただいております。
鶏肉の出汁で作るのが多いと思いますが、
わたくしどもは、鯛のしょっつるを使います。
鯛の深いお出汁に、セリ、ガラ、切り身、ネギなどで味わいます。 

Q.きりたんぽ鍋のリピーターも多いでしょうね。 

長く続いているお客様もいらっしゃいます。

季節のご挨拶を送る数は、数万件です。
関東、関西の方が多いでしょうか。

忙しい時は夜通しの作業になります。
子どもが小さい時は、子どもをおぶって工場に入りました。

たくさんのお客様に支えられています。 

Q.女将の仕事は多岐に渡るのですね。 

わたくしの仕事は、全部を把握することだと思います。
全部=多岐に渡るということなのでしょうね。

きりたんぽ作りもそうですが、
茶葉がどこにあるか、ポットの位置など細かいことも
自分で手をかけていないと、わからないものです。

また、お客様によって、お出しするお酒やお料理が違います。
企業が合併したりしてわかりづらくなっていますが、
どんなお料理、どんなお酒をお出しするかをチェックすることが大切です。

時と場合によって着物も変えます。
ご予約をいただいた段階で、 お客様がどんな方々なのかを確認いたします。

礼儀を尽くすために、全てを知っておくということでしょうか。

最後は経営者が責任者ですから、もう大変です。
夜は仲居がサービスをいたしますが、お出迎えやご挨拶、お見送りはいたします。

海外のお客様もお見えになります。
どこの国の方でも、必ず最初の挨拶だけは英語でします。

ランチについては、わたくしが担当いたします。
洗い物も、請求書の発行も全てやります。

まったく華やかなものではありません。
体力もつかいますし、気もつかいます(笑) 。