さとう あきこ

佐藤 亜希子

秋田県北秋田市出身。
北秋中央病院(現 北秋田市民病院)内科、外科、秋田大学附属病院 心臓外科を経て、
現在は、秋田県立リハビリテーション・精神医療センター勤務。
趣味は、一人旅、Dreams Come Trueツアー参戦。

【2】

◼ …コロナ禍ももちろんですが、もともとハードな現場ですよね。

ハードだけど、楽しさしかなかったです。

最初勤務した場所では、新人が私だけだったので、可愛がってもらったのも大きかったです。
1年の内科勤務を経て、外科に移りました。

一番ハードだったのは、 夜勤で、救急患者が運ばれてくると、
夜中の手術に入って、朝退勤という時です。
仮眠の時間はないので、朝4時ごろになると、睡魔が襲ってきます。

実家と病院は車で10分弱の距離でしたが、 一度、運転しながら寝ちゃったんです。
大きなクラクション音でハッと起き上がったら、目の前に大型ダンプがいました。
ほんの10分の間に眠気がぐわーっと襲ってくるので、
窓を開けて大音量で音楽をかけたり、コーヒーを飲んだりしながら帰るんです。
いつも 睡魔との闘いでした。

それでも楽しかったですね。スタッフに恵まれていました。

その後、秋田市に移ってきて、心臓外科を経験し、
現在は秋田県立リハビリテーション・精神医療センターに勤務しています。 

◼ …今の勤務先は、それまでと少し分野が違うようにも思いますね。

これまで経験してきた急性期医療(病気になって間もない時期・病気が安定しない時期の医療と違うので、
学び直そうと思って、すぐに学士(大学卒)を取得しました。

その後、大学院に行こうと思ったのですが、
たまたま病院から、脳卒中の認定看護師のお話をいただいたので、
和光市(埼玉県)の学校に7ヶ月間行ってきました。 

◼ …7ヶ月間の研修はいかがでしたか?

学科はすべて脳卒中に関することです。
解剖学、病態生理、薬理学、そして脳卒中看護についてです。
例えば、救急車で運ばれてきた患者さんにどういう治療と看護が必要か、
さらに、脳卒中の患者さんは退院してからどんな社会サービスを使うのか、等を学びました。 

実習は川崎市(神奈川県)の第3次医療指定病院だったので、頻繁に救急車がきます。
久しぶりの急性期医療ですし、かつての医療と今の医療もまったく違います。
すごく苦労しました。
全部が初めてのことに思えたので、ものすごく勉強しました。
ここからまたスタートだなと思って、今までにないぐらい勉強したと思います。 

和光から川崎に通うので、朝5時半に家を出て満員電車に乗ります。
ずっと立ったまま寝ていました。
渋谷あたりで人が減るので、そこから やっとの思いで座るのですが、
やっぱり 寝過ごすことも何度もありました。

ベッドで寝てしまうと起きられないので、玄関先で仮眠する感じでした。
この、7か月間は睡眠時間の平均は1時間ほどだったと思います。
私はそんなに器用ではないので、同時進行が難しいんです。
一つ一つ勉強を進めて行った感じです。

体重が10kg近く減ってました(笑) 

認定看護師になるためには、学校に入るための受験をすることはもちろん、
学校で学んだ後、また試験があるんです。

その試験には とことん嫌われて、合格まで4回かかりました。
急性期医療から離れて20年近くになってるから、全然わかんない…。
勤務先の病院からはなぜ受からないのか、というプレッシャーもあり、
あと1点というところで落とされるので、もう悩んじゃったんです。

向いていないな、これで最後にしようって思って受験したら受かりました。
諦めないでやってよかったです。 

◼ …学士は看護学ですか? 

生活・福祉学士です。
学位授与機構という文科省の制度を利用すれば、
看護経験と、研究をプラスして 看護学に変更できるので、
変更のための準備していたのですが、2単位足りなくて できませんでした。

その後認定看護師の実習で、その不足していた2単位はとれたのですが、
変更するのは あえてやめました。

というのも、 来年、大学院に行って修士を取ろうと思っているからです。
日本は災害が多いので、
看護協会の方からも災害看護についての大学院に行かないかと言われていて、今、検討中です。
そうなれば、働きながらリモートで学ぶことになると思います。

このような機会が自分のところにやってくるということは、
自分にとって良いチャンスなのだろうと捉えています。

災害看護については、秋田県であまり人材がいないので、
自分に強みができるということでもありますしね。 

◼ …学ぼうというその原動力は何でしょうか?

やっぱり看護職が好きなのでしょうね。
大変だと思っても、大好きなんです。

患者さんが良くなっていく姿が見られるなんて、素晴らしい仕事だと思います。

患者さんが元気に自宅へ帰っていく姿を見て、
やっぱり看護師好きだな・・と改めて感じます。

私たち医療者は、その方の人生の ほんのちょっとしか一緒に過ごす事ができないけれど、
この人のために何かしてあげたいなって思うんです。

そんな風に人と接することって
この仕事だからこそできることだなって気がします。 

もっともっと学びたいです。 

◼ …お忙しい中ではありますが、休日はどんな過ごし方をしていますか? 

毎年行っていますが、 Dreams Come True のツアー参戦ですね。
今年もツアーが始まりました。
ファンクラブに入っていて、多い年で8箇所ぐらい行きます。

昨年、初の一人旅をしました。
今年も休みがとれたら、是非行きたいです。

また、久しく行っていないですが、スキーもやりたいですね。 

◼ …今後の夢はどんなことでしょうか?

今、脳卒中リハビリテーション看護の認定看護師として、
大きなプロジェクトを進めていて、その土台ができてきたところです。

秋田県の脳卒中の罹患率はすごく高い状況です。
死亡率も高いし、女性の喫煙率がすごい高いんですね。
喫煙率が高い=脳卒中になるリスクはすごく高いんです。
脳卒中予防の啓発活動をもっともっとしていきたいです。 

私は今、回復期の病棟で勤務しているのですが、
急性期から回復期、そして自宅という流れの中で、
それぞれが独立している感じもあり、患者さんの状況が掴みづらくなっています。

そこで、予防教育プログラムというものを立ち上げて、
急性期の認定看護師、とと、理学療法士作業療法士言語療法士みんなで
つながりある医療を提供したいと考えています。 

全国的に見ても、この形でやっているところはないです。
似たようなものはありますが、
もっともっとお互いが連携をとりながら、
患者さんにとっての最善の医療と看護を提供したいと思っています。

もちろん、これは地域性もあって、
大きい病院が多くある都会の場合うまく連携できないところもありますが、
過疎化が進んでいる地方の場合、つながる医療は実現しやすいと思っています。

そして ゆくゆくはドクターも巻き込んで、大きなものにしていきたいです。

日本国内の医療格差もあると思います。
都会より遅れている地方の医療や看護を、少しでも前進できるように、
今後も、学会や研修会等を通して発信できる存在になりたいと思っています。

(了)
インタビュアー:鶴岡 慶子
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