【1】
◼️…梅子の名前の由来は何ですか?
作家名として自分でつけた名前です。
華やかに咲くんじゃなく、 ポツポツと咲く梅が自分のイメージに近いと思いました。
桜が好きなのですが、自分に当てはめた時に
そういう華やかさじゃなくて、素朴なイメージが近い気がしました。
それから、横浜の実家の近くに有名な梅林があるんです。
小さい時から母もその梅林の近くで働いていて 梅にすごく親しみがありました。
さらに、学生の時に和食屋さんで着物ウェイトレスのアルバイトしていて
その和食屋さんが本店が料亭だったので
板さんやホールの人が派遣されてきたりしていました。
その中に、元芸者さんで梅子姐さんって呼ばれている方がいて、
優しい、ふっくらしているおばあちゃまなんです。
そんな梅ちゃん目当てにやっぱりお客さん来るんです。
そんな素敵なイメージもあって梅子の名前をいただきました。
◼️…ディップアートとは どういうものですか?
ディップ液という特殊な樹脂があって、
形作ったワイヤーをそのディップ液に浸します。
ワイヤーをディップ液につけて作られた花は、
透明感のある美しいアート作品になります。
◼️…ディップアートとは どのような出会いがあったのでしょうか?
着物好きから始まっています。
ある時、着物に合うかんざしが欲しくて、ネットで探していたら、
すごい綺麗な透明なお花を見つけたんです。
何だこれは?!と思って値段を見たら¥50,000。
高価なものでした。
詳しく調べてみたら、それがアメリカンフラワーだと言うことがわかりました。
自分で作れないかな?
教えてくれるところはないかな?と
なんとなく気にかけて過ごしていたら、
普段は行かない産直のお店でアメリカンフラワーと出会いました。
アメリカンフラワーは、40年ぐらい前にブームだった造花の技術です。
ワイヤーで形を作った花びらを液体につけて膜を張って
スポンジに刺して乾かすものです。
アメリカンフラワーと繋がりました。
アメリカンフラワーを学ぶには、
東京や仙台に行く必要があるなって思っていたのに、
その教室は自宅から30分ぐらいのところだったので、
すぐに習いにいきました。
まさに「出会い」でした。
趣味で始めたものでしたが、 上級者になっていくと
教えて欲しいという声や、展示販売の機会が巡ってきたりしたので、
ディップアート協会に入って、講師の免許を取得することにしました。
免許取得には2年ぐらいかかりました。
◼️…初めに習っていたお花の作品は、かんざしとは違うものですか?
私が作りたいかんざしと別でした。
なので、習ったことを応用して、小さく作ってアクセサリーに仕立てていきました。
小さくなればなるほど難しいんですね。
もちろん大きいものも難しい場面もありますが、
小さいものを形成するには、
例えば、花びら一枚一枚の曲線など、作業の細かさがあります。
ドールハウスもそうですよね。
ちっちゃくなればなるほど、手が混んできます。
(かんざしは)試行錯誤で始まった感じです。
◼️…作品づくりの面白さはどの辺にあるでしょうか?
桜の花を作っていると、
香りとか質感とかを考えれば、本物には敵わないんです。
本物が一番と思ってはいるけれど、
ディップアートで、本物の花にはない美しさみたいなものを表現していきたいと思っています。
(お好みだと思いますが)本物より素敵って言っていただくこともあって、
やっていて良かったなと思います。
ククって読むんですが、これはフランス語の気軽な挨拶です。
ボンジュールはかしこまった挨拶ですが、ククは親しみを込めた挨拶です。
赤ちゃんや恋人に優しく話しかける時に使うそうです。
クク♡と可愛がっていただけるような作品を!という願いを込めてつけました。
今は、「Cou cou」に加えて
昨年末ぐらいから上位ブランドの「花あかり」を立ち上げました。
私自身の想いを詰め込んで、こだわり抜いた作品が「花あかり」です。
◼️…日本では、かんざし=着物に合わせるものという感覚がありますね。
どうしてもそういう先入観がありますよね。
ところが、パリで行われたジャパンエキスポ(2022年)で出展したら
一番最初にかんざしが売り切れちゃいました。
向こうの方々は、着物を着ないのに かんざしを挿すんです。
需要が全然違うと感じてびっくりしました。
まとめ髪にスーって挿すのを見て、
日本でもこんな風に(かんざしを)使ってもらえたらいいなって思いながら帰ってきました。
やっぱり日本人は「かんざしとはこういうもの」という先入観がどうしてもあるので
今はまず着物が好きな方から手にとっていただいて、
そこから洋服に合わせてもらったり、普段使いに、と広がっていくといいなと思っています。
そうやって、裾野を広げたいなって思います。
◼️…ご自身が着物を好きになったのはいつ頃でしょうか?
子ども時代、お正月に着物を着せもらって楽しかったという記憶があります。
両親が関西の出身で、より着物に親しみがある文化だったからかもしれません。
母が節目節目に着せてくれていました。
学生時代には、なんと「着付け部(!)」に入っていました。
大学のすぐ近くに着付け教室があって、学生料金で教えてくれたので
みんなで空き時間に練習しに行っていました。
着物を着たまま次の授業に出たこともあります。
そういう(着物に)親しみやすい環境にいましたし、着付けの免状もいただきました。
その時は、振袖を自装して出掛けるほど ちゃんと着られてたのですが、
その後 結婚して、子育て中には、それどころじゃなくなり、久しく着ていなかったんです。
着てみたらコツをすっかり忘れていて愕然としました。
それでも普段 着られるぐらいには勘も戻ってきて、
着付けが下手でも楽しく着られたらいいかなと、今は思っています。
なによりも、私はお洋服の流行が追えないタチなのですが(笑)
着物は、何年経っても着られるし、
褒めていただくことが多いので余計好きになっちゃいました。
◼️…お着物は、もっと気軽に着られたらいいのにと思います。私の場合は着付けてもらわなきゃいけないからハードルが高いです。