さとう まちこ
佐藤 真知子
東京生まれ。高校卒業後、単身カナダへ留学。
語学の壁を乗り越えカナダでカレッジを卒業後にホテル業界で働き、その後オーストラリアでワーキングホリデーを経験。
帰国後は外資系企業で営業、人材育成や教育研修に携わる。
現在は東京都内外資系企業のHRBPとして勤務をしながらも、神奈川県茅ヶ崎市を拠点に、ゴスペル音楽を通じた地域コミュニティづくり、人材教育、セルフマネジメント教育に力を入れ活動を広げている。
◼️…どんなきっかけでゴスペルに出会ったのでしょうか?
日本に帰国して当時ブームだったカラオケに行きまくっていて、
しまいにはカラオケボックスに入り浸るくらいでした(笑)。
楽しくはあったんですけど、だんだん物足りなさを感じるようになって。
「もっと自由に、もっと楽に歌えたらいいのになぁ」と思い始めたんですね。
そんな時、友人が「ゴスペルって知ってる?ちょっとかっこいいジャンルなんだけど、一緒に行かない?」って誘ってくれたんです。
最初はそんなに深く考えず、「いいよ、行ってみよう」っていう軽いノリでした。
◼️…最初に体験したゴスペルは、どんなものでしたか?
行った先は、市民サークルみたいな小さなグループだったんですけど、
そこが割と普通じゃなかったんです。
実は、日本でゴスペルを広めた第一人者と言われる亀渕友香先生が関わっていた場所で、
ゴスペルを始める上ではとても良いきっかけとなりました。
その後、このゴスペルグループでのご縁で
プロのピアニスト・佐藤昌氏と知り合い、
昌さんがピアノを演奏するプロのゴスペルグループのコンサートで「THE SOULMATICS」を知りました。
そのTHE SOULMATICSとの出会いこそが
私のゴスペル人生を大きく変えたと言えると思います。
日本人離れしたパワフルで、洗練された歌声を持ち、
とても衝撃的な出会いでした。
当時まだ日本ではプロのゴスペルアーティストが少ない中、
あんなリアルなゴスペルに出会えるとは思ってもみなかったです。
◼️…その出会いが、人生を変えたんですね。
はい、まさに人生を変えました。
もしあのとき普通のボイストレーニングだけを受けていたら、
たぶん私はゴスペルにハマることはなかったでしょう。
ゴスペルには「そのままのあなたでいい」という
無条件の愛のメッセージが込められていて、それがすごく心に響きました。
気づいたら、「これをもっと深く知りたい」「もっと歌いたい」と思うようになっていました。
◼️…そこからどのようにして『WIZ Gospel Choir』を立ち上げたのでしょう?
もともと所属していた市民サークルみたいな小さなグループで活動を続けるうちに、
「もっと自由に、もっと上手くなりたい、もっとゴスペルに向き合いたい」と思う気持ちが強くなっていきました。
そこのグループを抜け、私を含めて4人の仲間たちが同じ思いを持って集まり、
2013年2月に新たなChoirを立ち上げることを決意し、
場所探し、講師探し、ホームページ作り…。
全部、自分たちで必死に準備しました。
そして2013年3月、たった3週間で立ち上げたのが、『WIZ Gospel Choir』です。
直ぐに8名の仲間も加わり、初年度は12名と、そしてなんと!!
THE SOULMATICS 代表の池末信先生にお願いをした結果、
WIZ Gospel ChoirはTHE SOULMATICSに監修していただけることになり、
THE SOULMATICSの近藤章裕先生をWIZの専属講師にお迎えして活動をスタートすることになったのです!!
◼️…『WIZ』立ち上げ当初は、どんな気持ちでしたか?
正直なところ、迷いや怖さよりも「ワクワク感」の方が大きかったです。
なにせ最強の見方となるTHE SOULMATICS 近藤章裕先生のサポートも手に入れましたしね(笑)
不安が全くなかったわけではありませんが、
それ以上に「これからどんな世界が広がっていくんだろう?」という期待が大きかったです。
12人でスタートしましたが、今でもその時の仲間たちのことを「初期メンバー」と呼び、
そこから毎年新たなメンバーが加入することに1期、2期と増え、
来月6月より13期メンバーの募集が始まるんですが、
既に5名の方々が体験練習会への参加お申込みを頂いている状況で、新たなメンバー加入が今から楽しみです!
◼️…『WIZ』は立ち上げ後、どのように発展してきたのですか?
だんだんと「もっと自由に、もっと心を込めてゴスペルを歌いたい」という人たちが集まってくるようになりました。
他のチームから移籍してくる方も何人もいましたね。
皆さんが口を揃えて言うのは、「もっとやりたいのに、やれなかった」っていうことです。
大きな集団になると、温度差が出てきます。
人数が増えれば増えるほど、それが顕著になっていくものです。
だからこそ、『WIZ』では最初から
「楽しみたい人」と「学びたい人」を分ける仕組みを作りました。
「楽しみたい人」たちはエンジョイチームです。
何を“楽しい”と感じるかは人それぞれです。
歌うことが楽しいっていう人もいれば、
人とコミュニケーションを取ることが楽しいという人もいるし、
何か学ぶのが楽しいっていう人もいる。
好きなように“楽しい”を感じてもらおうっていうのが、エンジョイチームです。
もう一つが、「より深く学びたい人」たちのアクティブチームです。
もっとアグレッシブに、“もっと深く追求してみよう、もっとチャレンジしよう、もっと学ぼう”というチームです。
エンジョイチームの中にも学びはもちろんありますが
アクティブチームはさらに深堀りしていきます。
アクティブチームのメンバーは、
より多くのステージにも積極的に出たりしています。
これが、WIZがうまくいっている理由の一つだと思っています。
大阪コンテスト 優勝
◼️…『WIZ』では、ゴスペルの歌詞やメッセージにはどんなこだわりを持っていますか?
歌詞の内容をしっかり掘り下げていくことはすごく大事にしています。
ゴスペルの歌詞は、聖書から来ているものが多いんですね。
聖書に書かれているのは、教えだけではなくて、なによりも「愛」。
神様からの無償の愛、希望、そのままのあなたでいいんだ、というメッセージ。
それがものすごく大きいんです。
私たちは単に歌を披露しているわけじゃないんですね。
本来ゴスペルが伝えようとしているメッセージを、
「私たちの口を通して」歌わせてもらっているだけだから、
「このメッセージを届けよう」という意識が強いです。
もちろん、音程を外さない、リズムを正確に取る、それは必要です。
どんなに素晴らしいメッセージを伝えようとしても、
音程やリズムがずれていたら、
聴いている人はそっちに意識を持っていかれてしまいますよね。
逆に、すごく上手でも、心がこもっていなかったら、
やっぱり何も届かないと思うんです。
だから私たちは、「うまくなろう」というよりも、
「ちゃんと伝えよう」という意識を強く持っています。
そのために技術も磨く。
だけど、最終的には「心」で伝えることが一番大事だと思っています。
◼️…歌詞に込められた「愛」や「希望」を、どのように感じ取って歌っているのでしょうか?
例えばゴスペルの中には、こういうメッセージがたくさんあるんです。
「そのままのあなたでいい」
「あなたの存在自体が素晴らしい」とか。
「たとえ今はそれが見えなくても、頭の中が雲に覆われていても、その向こうには青空が広がっている」
「暗闇があるからこそ、星の光が輝くんだよ」。
そういう歌詞が、英語が分からなくても、ちゃんと心に届くと信じています。
実際に、うちのメンバーの中には、
人生に絶望しかけていたけれどゴスペルに出会って、
生きる力を取り戻した人もいます。
その涙が、生きる力になる。
そういう瞬間に何度も立ち会ってきました。
たとえば、病気で体がどんどん動かなくなっていくメンバーがいたんですけど、
その人も「今できることを積み重ねていこう」とゴスペルを続けました。
あるいは、外に出ることができなかった方が、コンサートでゴスペルに触れて、
「歌詞の意味は分からなかったけど、なぜか泣けた」と言ってくれたこともあります。
だから私は、「ゴスペルは命を救う音楽」だと心から信じています。
第6回日本ゴスペル音楽祭(於 東京中央教会)
◼️…『WIZ』のこれからのビジョンを教えてください。
『WIZ Gospel Choir』をもっともっと広げていきたいと思っています。
茅ヶ崎が本拠地ですが、秋田にも拠点を作る準備をしています。
そしてゆくゆくは、全国に『WIZ』の輪を広げたいと思っています。
そして『WIZ』を次の世代、その次の世代へと引き継いでいき、
「100年続くクワイア」に育てることが私の大きな夢です。
秋田メンバー募集開始/体験練習会 6月14日(土)
それは単に人数を増やすということじゃなくて、
“ともに学び、ともに成長できる場”を作るということなんですね。
今『WIZ』の中で力を入れているのが、“自分マネジメント”っていう分野です。
学びの場(自分マネジメント)
高額なお金を払えば、ビジネスマン向けの自己啓発セミナーってたくさんありますよね。
でも、そこまでしなくても、もっと身近に、自分を育てるチャンスを作れないかなって思うんです。
たとえば、”感情をコントロールする”こと。
“自分の良さを知る”こと。
“自分を正しく表現できる”こと。
こういうことって、本当は生きる上で誰にでも必要なのに、
学ぶ場所はなかなかないんですよね。
だから、ゴスペルを通じて集まった仲間と一緒に、
安心できる環境で、自分自身と向き合う時間を作っています。
秋田でも、いずれこの『自分マネジメント』を広げていきたいと思っています。
学びの場(自分マネジメント)
私はもともと教育にすごく興味がありました。
外資系の教育企業に勤めたのもそのためでした。
“人が学ぶってどういうことだろう?”
“どうしたら人はもっと伸びるんだろう?輝くんだろう?”って、ずっと考えてきたんです。
特に私が共感したのは、”加点法”という考え方。
日本では、”ここができない、あそこがダメ”って減点されることが多いのですが、
でも、私が出会った先生たちは違ったんです。
“ここができたね、これもできたよ、すごいね”って、できたことをちゃんと認めてくれる。
その方が人って伸びるんですよね。
だから私も、『WIZ』のメンバーには 常に加点法で関わっています。
◼️…佐藤真知子さんにとっての「人生のステキ」は何ですか?
私にとっての“人生のステキ”は、やっぱり”人”なんです。
これまでの人生で、何度も人に救われてきました。
中学、高校の頃は、今思えばやんちゃな時期もありました。
でも、そんな私を支えてくれたのは、やっぱり周りの人たちだったと思うんです。
カナダに渡った時も、右も左も分からない私を助けてくれた人たちがいましたし
社会に出てからも、節目節目で素晴らしい出会いがありましたし、
現在の職業はHRBP(Human Resources Business Partner)と言う、
ビジネス上で必要な人事戦略でビジネスを支援する役割で、やはり「人」なんです。
このような一つ一つがあって、今の私があるんだと思っています。
だから、これからも、
“人と人をつなぐ”
“誰かの力になれる存在になる”
そんな生き方をしていきたいですね。
茅ヶ崎 サザンビーチ Cモニュメント
(了)
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